2013年2月21日

 報道されているとおりだったら、という仮定での話である。

 2%の物価上昇率目標を決めた1月の日銀・金融政策決定会合の議事要旨が公表されたとのことである。

 そこでの議論は、2%目標の実現が可能か否かという議論と2%目標が企業や家計の期待形成に効果を持つかという議論が主であったようである。

 健全性を定義することは難しいことだが、日銀は金融政策の面から経済の健全性を確保することをその任務とする組織である。

 健全性を確保するためにウオッチしている指標は、シロウトの想像を超える数と複雑さをもったものであろう。

 その日銀が物価上昇率という1つの指標にしばられてしまうということが今回の事態の根本的問題のはずである。

 にもかかわらず、議論は根本問題に触れることなく、実現可能性と効果の議論に終始しているように見える。

 人の健康を血圧とか体温とかの単一指標で判断する医者がいたとしたら、当然やぶ医者だと批判されるであろう。

 日銀はそのやぶ医者の道を不本意ながらとろうとしているように思える。

 2%目標の実現が可能か否かということが、経済の健全性を維持しながらという強い条件のもとでなされたがゆえに、厳しい議論になったというのであれば、日銀を信頼する余地はまだ残されているという気はする。その場合の実現の可否の議論は意味ある議論である。

 しかし、報道振りからだけで導かれるイメージは、政府の軍門に下った、自らをやぶ医者におとしめる日銀というイメージである。