2013年1月29日

朝青龍をめぐる相撲界周辺の似非道徳的PTA体質に愛想を尽かし、相撲と決別してかなりになる。

 しかし、高見盛引退のニュースは悲しい。

 

はじめて高見盛を見たのは大学選手権で彼が個人優勝した、すなわち大学横綱になったテレビ中継であった。

 優勝インタビューで雄叫びを上げていた。度の強そうな、太い黒縁の眼鏡をかけていた。その時もふつうではなかった。

 その彼が爆発的人気を獲得するようになる前からプロになった彼に注目していた。

 所作の面白さだけが人気の原因なのであれば、それは高見盛に対する正当な評価ではない、そんなことを言いたくなるファンであった。

 爆発的人気、テレビコマーシャルへの出演、おそらく身入りも激変したであろう。ふつう、これで人は変わるものだ。

 引退記者会見で明らかな如く、高見盛は変わらなかった。

 そこにあるのは「脱自」「没我」といった種類のものだと思われる。

 高見盛をそこに導いたものは何だったのだろうか?

 引退会見の日、同じ青森出身の棟方志功を思い出した。

 また、偶然ながら谷川徹太郎による「熊谷守一の人と芸術」を読んだ。

 棟方、熊谷、ともに、その境地の近辺に生きた人だ。