2013年1月28日
人間をラジオのアンテナに例えて考えることができる。
人間はある周波数の範囲内の電波のみを感知するアンテナであり、範囲外の電波は人間にとっては「無」あるいは「不可知」であるなどと。
今回もその例えを活用することとしたい。
ラジオの音の具合がよくない。その原因は大きく二つに分けて考えられる。
一つは、ラジオの外からやってくる電波が弱い、あるいは乱れているという原因である。
もう一つは、ラジオ内部の原因であって、ラジオの受信装置、再生装置が壊れている、ないし調子が悪いという原因である。
原因をラジオ外部の要因にあると考え、電波の乱れを整え電波を強くするという解決策は、現在の日本ではあまり期待できない。
短期的解決策とされるものはむしろ有害ですらある。その有害な対応策を阻止するという消極的対応のほうがむしろ必要である。
電波状況の改善が期待できない現在の日本の状況において取り組まれるべきは、受信・再生装置・ラジオの修繕である。
ここでの改善を図らないかぎり、音の具合はよくならない。
幸い、この分野には活用されていない莫大なノウハウが蓄積されていると考えられる。
今後、この分野に社会のインテリジェンスが集中的に投入されることが期待される。
人類の歴史を見ても個人の歴史を見ても、電波強化対策の時代と受信・再生装置改善の時代が交互に訪れているように思える。
電波強化が期待できる時代には受信・再生装置の改善努力がおろそかにされる。
電波強化の可能性が乏しいと判断された時代には受信・再生装置におのずと目が向けられる。
現在、日本は後者の時代を迎えていると認識されなければならない。
なお、般若心経では「色即是空 空即是色 受想行識亦復如是」(「色」は「空」であり、「空」は「色」であり、「受想行識」もまた同様)とある。
「色」とは上にいう電波ないし電波発信体であり、「受想行識」とは受信・再生装置ないし受信・再生それ自体、すなわちラジオないしラジオの機能である。
般若心経ではいずれの改善も空しきこととなるはずだが、般若心経は空しきはずのメッセージを発している。これはまた別の問題として考えられなければならない。