2000年12月11日

  親鸞の「悪人正機説」というのがあります。
  「善人なをもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」という、善人が往生
できるのだから、まして悪人が往生できないわけはないという反語め
いた教説です。

  この説における「悪人」というのは、我々が一般に用いる意味での
「悪人」と同じと解釈され、聖書の「心の貧しき人は幸いなり」と比較さ
れたりします。

  そのような解釈から導き出される意味はあると思います。

  しかし、ひょっとすると、「悪人」とは、当時の身分、職能の上でその
ように呼ばれていた人たちのことを本来は指すのではないか、「悪人」
という言葉は歴史性を背景に持った言葉なのではないか。そんな気が
しています。