2000年12月21日

  哲学者中村雄二郎は、西欧近代を西欧近代たらしめた原理として、
三つ上げています。

  その三つとは、「近代科学」、「資本主義」、「宗教改革」です。

  これらが西欧近代(日本も今やそれに連なる社会です。)の「発展」
をもたらした基礎をなしているのですが、また西欧近代の病理の原因
ともなっています。

  その病理とは、人類発生以来西欧近代に至るまで、人類がその中
で暮らしていた「共同体」が三つの原理によって破壊され、それによっ
て発生したものです。(三つの原理がいかなる意味で「共同体」を破壊
したのかは、紙数を要するために割愛)
  「共同体」という保育器から放り出されて、個人個人にばらされた人
類は、重篤なインフルエンザに罹ってしまいました。

  いろいろな特効薬が、政治、宗教、思想の世界で提起されています
が、まだ完全な治療薬は見出されていません。
  社会主義計画経済というのも一つの治療薬だったのですが、病理分
析不十分だったためか、20世紀の百年を使った実験で、副作用が強す
ぎて崩壊してしまいました。

  インチキ薬にだまされないで、いかにいい治療薬を発見するか、それ
が21世紀の人類の課題です。