2001年4月20日
  4月17日(2001年)朝日新聞の「天声人語」は次のような内容です。
  弥生人の脳が出土した。縄文人は弥生人より劣っていると思われて
きたが、縄文文化の水準の高さが分かってきた。江戸時代も近代以前
の遅れた社会とみなされてきたが、再評価されるようになってきた。人
間がだんだんましになってきたのだろうかと考え込む。政治を見るとい
つも「否」のほうに傾く。

  これは一見正論です。しかし、この一見正論の文章に現われた姿勢
には今日の社会的諸問題の根っことなる、ある性向が現われていると
感じられます。
  すなわち、問題は政治ないし政治家にあるとして、責任を全部そちら
のほうにかぶせて、われわれ自身の問題を棚上げしようとする姿勢で
す。
  この一般に蔓延している果てしなき自己肯定の態度が世の中の、実
は諸悪の根元だと思います。天声人語子はこの文章に図らずも現われ
てしまった自己肯定のいやらしさにまったく気づかないのでしょうか。

  ローマ・カトリックは免罪符なるものを発行して宗教改革を招いてしまっ
たわけですが、日本の政治も意図せざる免罪符の発行によって世の中を
悪くしているのではないでしょうか。
  免罪符は買う側にも問題があるのであって、発行元のおかしい免罪符
には手を出してはいけないのです。