2001年5月11日

  国際関係というのは、そもそも取ったり取られたり、殺したり殺され
たり、侵略したり侵略されたりという関係だから、そのような関係にお
かれた日本の戦前及び戦争中の行為に対して中国、韓国その他近
隣アジア諸国に謝罪する必要はないと主張する人がいて、その人が
たまたまドイツ通を自認する人だったので、ドイツはちゃんと謝罪して
いるではないですかと指摘したところ、その人はその指摘を否定する
のです。
  それはおかしいと、ちょっと調べましたので、みなさんにもお知らせ
しておきます。

  ドイツの戦争責任処理は、3つの柱からなっています。
 
  一つ目が責任者処罰です。ドイツ国内法で戦犯を処罰しており、そ
の数は6500人に上ります。そして、この法律は現在も有効です。

  二つ目が政治指導者による謝罪です。1976年、ブラント首相がポー
ランドのワルシャワゲットー蜂起犠牲者碑の前で謝罪しています。1985
年にはワイツゼッカー大統領が国家の誤りを認め謝罪する有名な演
説をしています。1999年にはラム大統領が戦争中の諸民族の強制労
働に対して謝罪をしています。

  三つ目は補償です。連邦補償法という法律があり、また2000年に新
たに「記憶・責任・未来財団」という戦時補償を行う財団が設立されま
した。その規模は5000億円で、半分を国が負担、残りを5600の民間
会社及び自治体が負担しています。