2001年5月18日
  定温動物において同一種は北方のものは大きく、南方のものは小さい
という傾向があります。
例えば、シベリアトラはインドのベンガルトラより大きく、クマも北方のク
マは南方のクマより大きく、何よりもヒトにおいて北方のヒトは南方のヒト
より大型です。

  その理由は次のとおりです。
  定温動物は生命を維持するために体温を一定の温度に保たなければ
なりません。その場合、大きいことは熱を所持することにおいて有利です
が、体表面から熱を奪われるということにおいては不利です。
  言い換えれば、熱を所持するという意味ではプラス要因として体積が、
熱を奪われるという意味ではマイナス要因として面積が問題になるという
ことです。
  ところで、体積は長さの3乗に比例し、面積は長さの2乗に比例します。
すなわち、大きいことは面積増加よりも体積増加により大きく寄与すると
いうことです。
  したがって、北方の寒い地域においては、体温確保上、大きいことによ
る面積の不利を超えて、体積が大きいことの有利が選択されて大型にな
るわけです。