世界経済混乱の大局的構造について説明がないまま、個別の経済事件がバラバラと報道されるため(例えば、ギリシアに端を発するEU危機、世界中に広がる反格差デモ、先進各国共通の財政危機、中国・インド等での引き締め政策)、世の中は場当たり的政策を叫ぶばかりの烏合の衆と化し、こういう時にはお決まりの各種陰謀説がリアリティをもって受け止められるという情けない事態となっています。
世界経済混乱の原因は、外見的複雑さに惑わされなければ、至極単純なことです。
すなわち、各国における一人当たりの実質労働生産性と人々の消費生活水準がアンバランスになっており、新たなバランスに至るまでの調整の過程が今日の世界経済混乱であるということです。
要するに、先進国においては、かつての世界市場における労働生産性の圧倒的優位を失っているにもかかわらず、引き続き高い生活水準を維持しており、一方、BRICSをはじめとする開発途上国、旧社会主義圏諸国は労働生産性を急激に高めているにもかかわらず、生活水準は、向上しつつあるとはいうものの、労働生産性の上昇を十分に反映したものとはなっていないという世界的状況の調整が世界規模で現在行われているのです。
この「稼がないのに消費する」という先進国の状況を可能としているのは、世界的なマネーの流れ、宿命的に現状追随的性格を持つ金融によるものです。
基軸通貨・ドルを有しているがゆえにアメリカは世界からマネーを集め、それによってアメリカ国民の過剰消費が支えられています。
世界中の銀行、特にEUの銀行の国債購入によってギリシア国民の生活水準が維持されてきました。
この2つの事例が象徴的ですが、先進各国、基本的状況に変わりはありません。
マネーがそのように流れれば、その結果として可能となる需要に応じて世界の産業構造が形成されます。
中国、インド等での先進国マーケット向けの輸出産業の発展がその象徴です。
そして、労働生産性の実力のないところになされた消費金融が長続きするはずはありません(まさにサラ金)。
また、そのような永続性のない金融に支えられてきた消費需要がいずれ縮小を余儀なくされ、それをあてにしていた産業が衰退することは宿命です。
現在の世界経済混乱はこの宿命の現実化という事態です。
したがって、世界経済の混乱は、労働生産性と消費水準の世界的アンバランスの調整過程が終了するまでは継続すると覚悟せざるを得ないのです。
短期的な景気調整策でしかないケインズ的手法はこのような構造的原因による事態への対応力を持ちません。むしろ病気を長引かせる効果を持つと考えられます。
そして、世界的アンバランスの調整とは、先進国グループに属する日本にとっては日本全体の消費水準の切下げという厳しい内容を意味します。
対策という名に値しないかもしれませんが、日本全体の消費水準の切り下げ不可避という状況にできるだけ小さな摩擦で対応するための方途を考えるというのが、現在の事態への対策と言えば対策でしょう。
事態の厳しさに正面から向き合わず、「なせば成る」といった大本営発表のような精神主義を叫んで経済成長復活の幻想をばらまくインチキ経済評論家、インチキ政治家は国民を欺く存在です。彼らは間違っているのではなく、わかっていながら悪意を持って私的利益を追求しているというのが私の見立てです。
世界経済混乱の原因は、外見的複雑さに惑わされなければ、至極単純なことです。
すなわち、各国における一人当たりの実質労働生産性と人々の消費生活水準がアンバランスになっており、新たなバランスに至るまでの調整の過程が今日の世界経済混乱であるということです。
要するに、先進国においては、かつての世界市場における労働生産性の圧倒的優位を失っているにもかかわらず、引き続き高い生活水準を維持しており、一方、BRICSをはじめとする開発途上国、旧社会主義圏諸国は労働生産性を急激に高めているにもかかわらず、生活水準は、向上しつつあるとはいうものの、労働生産性の上昇を十分に反映したものとはなっていないという世界的状況の調整が世界規模で現在行われているのです。
この「稼がないのに消費する」という先進国の状況を可能としているのは、世界的なマネーの流れ、宿命的に現状追随的性格を持つ金融によるものです。
基軸通貨・ドルを有しているがゆえにアメリカは世界からマネーを集め、それによってアメリカ国民の過剰消費が支えられています。
世界中の銀行、特にEUの銀行の国債購入によってギリシア国民の生活水準が維持されてきました。
この2つの事例が象徴的ですが、先進各国、基本的状況に変わりはありません。
マネーがそのように流れれば、その結果として可能となる需要に応じて世界の産業構造が形成されます。
中国、インド等での先進国マーケット向けの輸出産業の発展がその象徴です。
そして、労働生産性の実力のないところになされた消費金融が長続きするはずはありません(まさにサラ金)。
また、そのような永続性のない金融に支えられてきた消費需要がいずれ縮小を余儀なくされ、それをあてにしていた産業が衰退することは宿命です。
現在の世界経済混乱はこの宿命の現実化という事態です。
したがって、世界経済の混乱は、労働生産性と消費水準の世界的アンバランスの調整過程が終了するまでは継続すると覚悟せざるを得ないのです。
短期的な景気調整策でしかないケインズ的手法はこのような構造的原因による事態への対応力を持ちません。むしろ病気を長引かせる効果を持つと考えられます。
そして、世界的アンバランスの調整とは、先進国グループに属する日本にとっては日本全体の消費水準の切下げという厳しい内容を意味します。
対策という名に値しないかもしれませんが、日本全体の消費水準の切り下げ不可避という状況にできるだけ小さな摩擦で対応するための方途を考えるというのが、現在の事態への対策と言えば対策でしょう。
事態の厳しさに正面から向き合わず、「なせば成る」といった大本営発表のような精神主義を叫んで経済成長復活の幻想をばらまくインチキ経済評論家、インチキ政治家は国民を欺く存在です。彼らは間違っているのではなく、わかっていながら悪意を持って私的利益を追求しているというのが私の見立てです。