聖域なき構造改革の一環として美人税の創設を検討してみました。

 美人であるためには多少のコストを必要とするでしょうが、基本的には
美人であることはコストなく獲得されたものです。そして、美人であるがゆ
えに得られる経済的メリットはいちいち挙げる必要がないくらい多様であ
り、美人でない人に比べれば生涯にわたってのメリットの総量ははるか
に大きいものがあります。
 下らぬ男に言い寄られやすいというデメリットはありますが、それは得ら
れるメリットからすれば無視しうる程度に過ぎないでしょう。また、得られる
メリットが多様であるために、所得税ではそのメリットを到底捕捉し得てい
ないと考えざるを得ません。

 課税理論上、応能税(負担能力に応じて課する税金)として、また課税の
バランスの観点からして、美人税は十分に新税たる条件を備えていると
思われます。

 問題は課税実務上にあります。
 そもそも美人の基準を法律化できるかというのが第1の問題です。
  「蓼食う虫も好き好き」という実態に制度が対応できるかという問題と境界
線上にある人を美人と不美人に分けることは事実上困難であるという問題
です。
  第2に美人には流行があるということです。たいして美人ではないと思わ
れるタレントがスターになると、その後そのタレントが美人の基準となって、
そのおかげで美人の仲間入りする人たちがいるということがあります。
 去年は美人税がいらなかったのに今年からは税金を徴収されるという場
合が考えられますが、元々の美人と比べれば生涯にわたる経済的メリット
総量は小さいでしょう。
 第3の問題は、課税にあたって容色の衰えをどう取り扱うかという問題で
す。特に新税導入時において、かつて美人であった人に課税するかどうか、
その認定は可能かどうかという問題です。
 第4の問題は、財政状況によって、美人の基準の上げ下げを政府が行う
ことが考えられますが、美人の基準という文化の問題を財政状況によって左
右することははなはだ問題です。

 以上の結果、課税理論上は美人税の創設は合格だが、課税実務上の問
題によって美人税の創設は断念せざるを得ないということになります。

  美人の方々、よかったですね!