2001年7月31日

  ジェノバ・サミットにおいて、警官隊とデモ隊の衝突で、デモ隊の一人が
射殺されました。この射殺のみならず、イタリア警察の過剰警備について
はサミット参加国からもいろいろな批判が出ています。

 一昨年でしたか、シアトルでのWTO閣僚会議でも会議に反対するデモ隊
が暴徒化し、会議が正常に開けないという事態が発生しました。

 大きな国際会議に最近登場するようになった会議開催に反対する人たち
はどのような人たちなのでしょうか。

 彼らの運動は、反グローバリズムと呼ばれていますが、日本で言えばど
のような人たちにあたるのか、どの程度組織化されているのか、彼らの理
念はどのようなものなのか、彼らは日々どのような暮らしをしている人たち
なのか、デモ隊は若い人たちが多いように見えますが世代に限定された運
動なのか、報道が不十分でさっぱり分かりません。
 日本に現在のところ同じような勢力が見えないということが、その大きな
原因になっているのかもしれません。

 「世界資本主義」、別言すれば「世界の自由主義市場経済路線」は、それ
までの主要敵であった社会主義体制が崩壊した後、イデオロギー的かつ政
治的反対勢力として「イスラム原理運動」を強く意識してきました。
 しかし、今後の展開は不明ですが、反グローバリズムの動きは、体制外
部の「イスラム原理運動」に対して体制内部の反対勢力として、これから「世
界資本主義」が対応を迫られるものとなる可能性が強いと思われます。

 参院選は小泉自民党の大勝という結果でしたが、小泉首相の構造改革と
はまさに日本のグローバリゼーションの動きであり、参院選では反グローバ
リズムのひとかけらも表面に現われてきませんでしたが、構造改革の「痛み」
次第では、日本でもこの動きが現実化する可能性があると思われます。

 更に言えば、「造反有理」とはいえ、この反グローバリズムの動きが偏狭ナ
ショナリズムと結び付けば「凶」、新たなグローバリズムに発展すれば「吉」と
いうのが、私のサイコロの目に出ています。