2001年8月2日

 参院選が終了し、小泉構造改革がいよいよ具体的に各論に入ってきます。

 ところで、実は明治時代に現在とほとんどまったく同じ経済論議が行われて
いたのです。
 当時、ヨーロッパから導入された現在で言えば古典派経済学を身につけた
人々が、その立場から明治政府の経済運営に対する批判を展開していました。
 その時の批判のターゲットは、「官」の肥大、官民癒着、公共事業の過大、東
京一極集中などであり、現在問題にされていることとほとんど変わりません。
 そして、これらの問題が「民」の本来持っている活力の発揮を妨げ、日本の潜
在経済成長力の実現を阻害していると、現在と同じように批判しているのです。

 もちろん、薩長藩閥だとか、政商資本主義だとか、鉄道は投資過大だから地
方は馬車用の木道に当面とどめるべきだとか、時代を反映した単語が登場しま
す。
 しかし、主張の背景になっている経済思想は、「市場原理主義」とも呼べるもの
で、現在とほとんど変わらないといえるのです。

 「市場原理主義」というのは、現状批判のメスとして鋭い刃先を持っていますが
、 現実の経済運営に使おうとすると、ターゲットでないところまで傷つけて出血を
起こすという欠陥手術用具です。

 その結果、明治時代の市場原理主義者たちは、その後、現状肯定的な国権
拡張論者やそれと正反対の社会主義者へと変化・分裂していきました。

 小泉改革を支える現代の市場原理主義者たちは、これからどうなっていくの
でしょうか。