2002年1月4日

スティーブン・ホーキングの「ホーキング、未来を語る」を読みました。
ホーキングは、ご存知のとおり、前著「ホーキング、宇宙を語る」で
ビッグ・バン宇宙論を一挙に世界中に広めた人で、筋萎縮症のため
発声能力も奪われている車椅子の物理学者です。
2読しましたが、99%チンプンカンプンでした。そのチンプンカンプ
ンの状態で私が感じたことを報告します。

例のリンゴのニュートンの著作は「Philosophiae Naturalis Principia
Mathematica」という題名です。たぶん「自然哲学の数学的法則」という
ことで、自然法則を数学的に明らかにしたものというような意味でしょう。
このニュートンの著作名に表わされているところの、自然法則あるい
は宇宙原理を数学的モデルで表現できるという人間の挑戦は、仮説の
樹立→実証→仮説の不成立あるいは限界→新仮説の樹立→実証とい
う時間軸に沿った着実な経路をたどって、ニュートン、アインシュタイン、
そしてホーキングという天才をメルクマールとしつつ、一歩一歩進展し
ているらしいということです。

そして、「ぜんまいを巻いて宇宙を時間発展させるように設定する外
部の存在は必要としない」(ホーキング)、すなわち「神の存在」を仮定す
ることなく世界=宇宙の発生、その後の歴史を説明しうるという科学者
たちの確信の上で、この挑戦が展開されているらしいということです。

さらに、ホーキングがこの著作の中で、かわいい自分の孫の写真を
ちゃっかり挿入したり、合成写真でマリリン・モンローを自分のひざの上
に乗せながらニュートン、アインシュタインとポーカーに興じている姿を
掲載するという茶目っ気を発揮したり、タイムマシンが造れるかどうかの
賭けはしない、なぜならば賭けの相手がタイムマシンで未来のことを知
っているかもしれないからだというジョークを書いたりしたりしていること
から、この挑戦が明らかにしつつある科学的事実は、我々の日常的な、
人間的な感情に対して根本的な修正を迫るような恐ろしい内容を含ん
でいるものではなさそうであるということです。