2002年3月12日
すでにSFでは取り上げられていると思いますが、おそらく今世紀中
に実験室レベルでは次のような「人間」を作り出すことが可能となるで
しょう。
と言うのは、ロボット工学の分野、それは医学と機械工学、電子工
学との合体分野ですが、そこではそのような方向性をもって着々と研
究が推進されているからです。
それは「テレ・エグジスタンス(tele-existence)」と呼ばれており、「テ
レ・ビジョン(tele-vision)」が視覚センサー(すなわちテレビカメラ)を遠
方に配置して居ながらにして地球の裏側や宇宙の光景を見ることがで
きるように、全感覚センサーを遠方に配置してそこの状況を全感覚す
る(そうなると人間は死んでしまう場合があるので、死因となる要素、例
えば高温、高圧の感覚は選択的に遮断する)ことができる装置です。
その技術の発展により最終的に作られる「人間」とは、、生命維持装
置(たぶん水槽のようなもの)の中に沈められた大脳に電子回路がセッ
トされており、その電子回路は目的の場所に配置され自由に運動する
ことができる五感センサーにつながっているというかたちです。
五体はもはや必要ありません。
その大脳は、我々とまったく違わない日常感覚を得ることができ、お
そらく感覚センサー不要のフロイト、ユングの無意識、仏教唯識学のい
う末那識、阿頼耶識という心の深層を持つでしょう。
大脳あるいはその生命維持装置を改良して、生存を続けるための生
物学的条件の範囲を拡大すれば、太陽系崩壊に伴う人類の滅亡時期
を若干先延ばしすることも考えられると思います。(増殖はクローン技術
により行われるでしょう。)
そのような状態の「人間」を「人間」と呼べるのかが問題ですが、種の
保存を図ろうとする人類はその道を選択することになるでしょう。