2002年4月22日

有事関連法案が国会に提出され、連休明けには本格審議される見
込みとなっています。
日本の「戦争」を想定した法案に対して、60年安保からの経歴を持
つ世代として、 最低限の注意喚起をしておかなければならないと思い
ます。

有事関連法案は、憲法第9条、日米安保条約、集団的自衛権、周
辺事態法といった日本の安全保障全般に関わる問題で、これまでの
議論の経過を知らないとわかりにくい内容が多く含まれています。 い
ずれも極めて重要な問題ですが、 ここでは一つの問題のみを取り上
げたいと思います。
我々にとってとても大切だと思われるにもかかわらず、 なぜかマス
コミでもほとんど取り上げていない問題です。(私の目に触れていない
だけかもしれませんが……)

有事関連法案は、「武力攻撃事態」(この法案において作られた言葉
で、実際の武力攻撃、そのおそれのある事態、それが予測される事態
の3つの場合を意味しています)への対応方法の基本を定めた法案で
す。
当然のことながら、法案は「武力攻撃」を抑えることを目的としていま
す。
しかし、我々が考えなければならないのは、我々はその「戦争」に賛
成する場合もあれば反対する場合もあるということです。
法案では、「武力攻撃事態」の認定は首相が行うことになっており、国
会が承認(事後でもいい)することになっているようですが、首相が認定
しようと国会が承認しようと我々としては反対だということがありうるとい
うことです。
その反対を許さないというのであれば、太平洋戦争の前と同じです。
日本は太平洋戦争から何も学んでいないことになります。
ベトナムからアメリカが撤退するについて大きな貢献をしたのは、ア
メリカの若者たちのベトナム戦争反対の声でした。その反対が許され
なければ、さらに多くの無駄な血が流されたことでしょう。

法案には「国民の協力」という条文(第8条)があり、「国民は……対
処措置を実施する際は必要な協力をするよう努めるものとする。」とさ
れています。「指定公共機関の責務」という条文(第6条)があり、「指定
公共機関(NHKが含まれ、政令で民放が指定される可能性がある)は、
……武力攻撃事態への対処に関し、その業務について、必要な措置
を実施する責務を有する。」とされています。
これらの条文によって、集会、結社の自由、報道の自由が制限され、
反対運動が抑圧される可能性があります。

誤った判断を避けるためには、法律上の手続きよりも何よりも、我々
に自由が確保されていることが大切なのです。