2002年11月28日

 私の友人のひとりは、正義感の強いロマンティストで、坂本龍馬にあこがれ
ていましたが、小学校の時から学校の成績はかんばしくなかったので、早い
時期に坂本龍馬になるのはあきらめて、岡田以蔵(龍馬の近くにいた土佐勤
王党のテロリスト。「人斬り以蔵」と呼ばれた。28歳で斬首、さらし首。)の道
を歩もうと、その肉体を鍛え上げました。

 先日、その男と数十年ぶりに酒を飲み、さんざん思い出話に花を咲かせた後、
昔の意欲は衰えていないが、肉体的限界は近づいている、ターゲットにすべき
相手はいないかと迫られました。

 メディアが発達している現代では、すぐに偶像破壊がされてしまうので、一人
一殺のターゲットとなるような大物は存在しないのだ、短気を起こしてつまらぬ
相手と刺し違えるな、我慢して朽ち果てるのもひとつの道だと諭しました。

 別れて、深夜2時のタクシーの中、その男の物足りなそうな顔を思い浮かべ
ながら、テロリストに空手形を振り出した者として、私をその男に殺らせるとい
うアイデアが酩酊した頭に生じました。

さて、このようなタナトス(=死への志向、エロスの反対語)は男性特有のもの
でしょうか?
そうだとしたら、それは生物学的理由によるものでしょうか、それとも文化的産
物でしょうか?