2002年12月16日

 衆議院憲法調査会の中間報告が11月5日に発表されました。
 憲法改正は、国会による発議、国民投票によって決定されますが、改正
論者の我慢の限界から考えて、10年は待てず、5年後ぐらいには国会に
よる発議が具体的政治問題になると予想されます。(衆議院憲法調査会の
最終報告は約2年後)

 憲法改正の論点はいくつか提起されていますが、言うまでもなく実質的な
論点は9条改正問題であり、その他の論点はたいした問題であるとは思え
ません。
 この9条改正問題をめぐって近々、我が国全体が極めて政治化した状況
になるでしょう。

 9条改正問題は、世代を背景にした次の3派が議論を主導することになる
と思われます。

 その1つは、現行憲法をアメリカ占領軍の押し付け憲法とする伝統的改
憲論者で、軍備増強、反共意識(現在は反ロシア、反中国に転化)が強い
のが特徴です。
 次の1つは、湾岸戦争における日本の関与に対する評価が国際的に低
かったことを心理的負担に感じたニュー改憲論者で、「show the flag 」と
いう言葉に弱い人々です。
 最後の1つは、戦後平和教育の影響を受け、またダーティーな戦争という
ものをベトナム戦争で知り、さらに三島由紀夫事件で自衛隊のクーデター
のリアリティを感じた護憲論者です。

 現実には、この3派の周辺に様々な亜流があり、また3派が複雑に絡み
合い、重なり合いながら議論が展開されていくことになるでしょう。
 その際、「あなたの考えでは、アメリカとはどのような関係を持つことにな
るの?」という問いが3派それぞれに突きつけられるのであり、現在のとこ
ろ3派いずれもが有効な答えを準備しきれていないように思われます。