2003年3月6日
社会主義運動、共産主義運動のシンボルが赤旗であることさえ今や忘れら
れそうな時代であり、黒旗をシンボルとしていた社会運動があったことは、も
はやほとんどの人が御存知ないでしょう。
ナチスと組んだイタリア・ムッソリーニのファシズムは黒シャツで、黒旗ではあ
りません。
正解は、クロポトキン、バクーニン、日本では大逆事件の大杉栄が有名な無
政府主義(アナーキズム)です。戦前のメーデーには黒旗を掲げたアナーキス
トの参加もあったのです。
タレント高見恭子(元プロレスラーの衆議院議員馳浩の夫人)の父親(年齢か
らして祖父としか思われないのですが)である小説家高見順はアナーキストだっ
た時代があったようで、当時のアナーキストの様子は彼の小説「如何なる星の
下に」にうかがわれます。
さて、戦前のアナーキズムの学生運動家は、社会主義、共産主義と同様に弾
圧され、まともな就職はできませんでした。そして、当時はアンダーグラウンドの
世界であった競馬ジャーナリズム、いわゆる予想紙、に入ってきていたのです。
私が話したことがある予想紙のおじさんは、昭和5年の「川崎煙突男事件」(労
働争議で工場の煙突のてっぺんに篭城し、その煙突の下の道を天皇陛下が通
る必要があったために、その男を煙突から下ろさなければならないということが
大きなニュースになった。)の時、はしごで登って煙突男に食べ物を運んだアナ
ーキストでした。
競馬予想の本命は◎、対抗は○、穴馬は△という印を考え出した人は、やはり
元アナーキストの白井新平氏で、競馬予想紙「ケイシュウ」の創始者です。その周
辺には,水上勉、瀬戸内寂聴(当時は晴美)といった有名人が登場します。