2003年5月19日
ある人が「沖縄ではコンブ料理が有名です。」と言うので、「それ
は何かのまちがいでしょう。沖縄ではコンブは採れません。沖縄だ
ったらモズクじゃないの?」と、その人の専門が森林のほうだった
こともあり、私は自信たっぷりに反論しました。
後日、その人から私のほうがまちがいであることを、調査に基づ
いてビシッと指摘されました。
北海道産であるコンブが沖縄料理に利用されるようになった経
緯には、江戸時代の越中富山の薬売りと薩摩の密貿易が介在し
ています。
国内の自由移動が制限され、対外的には鎖国であった江戸時
代におけるスケールの大きな物流の姿が背景となっています。
すなわち、越中富山の米が北前船によって北海道に送られ、そ
れによって越中富山は北海道からコンブを手に入れる、琉球経由
で対中国密貿易をしていた薩摩から越中富山はそのコンブでもっ
て漢方薬の原料を調達するという交易があったのであり、北海道
→富山→薩摩→琉球→中国というコンブの移動の中で、輸出には
適さない下級品が現地消費に回るということで沖縄のコンブ消費
が生まれたのです。
そして、沖縄県民のコンブ摂取量は現在全国一だそうです。
明治維新での薩摩藩の活躍の背景に密貿易による経済力があ
ったことは有名ですが、そこで北海道産のコンブが一役買っていた
ということにもなります。
こういう知的敗戦は、敗戦によって得られる喜び(アメブロに書
けるという喜びも含まれます。)が大きく、さわやかで気持ちのいい
ものです。