2003年6月6日
5月30日(金)朝日新聞夕刊「素粒子」というコラムに次のような
文章が載っていました。
「宇宙が現在の半分であったころ、地球はまだなかった。生命も
生まれていなかった。空のかなたに70億年前の超新星を見つけ
たという。気が大きくなる。何もかも何だかどうでもよくなるね。」
この文章にはウソ又は中間項の大きな欠落があります。
地球もなく生命も生まれていない時期の超新星の発見という事
実によって「気が大きくなる」というのは理解できます。
しかし、その事実によって「何もかも何だかどうでもよくなる」とい
うヤケクソの心理が生じるとは考えにくいことです。
どう考えても心理の回路をたどることができません。
「誕生」はヤケクソの心理は生み出しません。ヤケクソの心理を
生み出したのが「滅亡」だったら理解できます。
おそらく「素粒子」の筆者には「宇宙」からの連想として「誕生」よ
りも「滅亡」という認識のほうが強かったのでしょう。
また、70億年前の超新星の発見という事実いかんにかかわら
ず、「何もかも何だかどうでもいいじゃないか」と訴えたい気持ちが
あらかじめあったのでしょう。
そのことが不自然な文章の原因と考えられます。
ノルマがあって文章を書こうとすると、このようなことが往々にし
て起こりがちです。自戒!自戒!