2003年10月3日
ついに昨晩「暗黒舞踏」を観ることができました。
禿頭から体全体を真っ白に塗りたくった半裸の舞踏と言えば、お分
かりになる方もいるでしょう。
棟方志功による「釈迦十大弟子」の踊る姿というイメージです。
観たのは演出・振付・デザイン天児牛大による「山海塾」の「かがみ
の隠喩の彼方へ~かげみ」です。
鍛えぬかれ、絞り込まれた肉体による究極の洗練です。
所作はことごとく、他に類例を見ない非日常的なもので、そのことに
よって観客は経験したことのない、しかし懐かしさを感じさせられる世
界に引き込まれます。
我々の肉体に秘められていて、人類が滅亡する直前に現われるで
あろう、悲惨で喜悦に満ちた孤独な姿が眼前に展開されているがゆ
えに、そのような印象を与えられるのではないかと思われました。
現代日本が生んだ、そしてたぶん現代日本だからこそ生み出しえた、
世界に誇るべき舞台芸術です。
終演に当たり、拍手鳴りやまず。