2004年6月25日

 日米首脳会談において、ブッシュは「あんな国を信用できるか」という
理由で北朝鮮との2国間会談を拒否したそうです。
 ブッシュは半分正しくて、半分間違っており、間違っている部分のほう
がより危険です。

 北朝鮮が国際関係について普通ではない考え方を持っており(そう言
われても仕方がない過去を持っており)、その点において「信用できない
国」だとするブッシュは正しいでしょう。
 しかし、「信用できない国」とどのように付き合うかというのが、そもそも
外交というものです。国際関係というものは、相手国は信用できないとい
う状況の中で展開されてきたのであって、仲良しグループの交際では決
してありませんでした。
 企業内に「鼻つまみ」がいる場合には解雇すればいいのと異なり、家
族の中に「鼻つまみ」がいてもそれを直ちに排除するわけにはいかない
というのが家族です。
 それと同様、国際関係の中の「鼻つまみ」も直ちには排除できず、そ
れをうまくだましだまし善導していくというのが外交の基本です。

 「あんな国信用できるか」というのがすべてを承知した上での発言であ
れば、それはひとつの戦術としてありうることですが、ブッシュの場合そ
の心にある排除優先の気持ちを正直に言っているのではないかという
懸念をぬぐえません。もしそうだとしたら、その気持ちに従って行われる
政策は大きな危険をはらんでいると思います。
 
 (参考)
  ベトナム戦争時代に一世風靡していた仏映画監督ジャン・リュック・ゴ
 ダールのマイケル・ムーア監督「華氏911」(カンヌ映画祭パルムドール
 賞受賞)に対する発言
    
     「ムーアが考えているほどブッシュはバカではない。」