2004年10月25日
教員の性犯罪が頻発していますが、その原因に関係する坂口安吾
の卓見に接しました。(「風と光と二十の私と」昭和22年発表)
以下にそのまま引用させていただきます。
「 小学校の先生には道徳観の奇怪な顚倒がある。つまり教育者とい
うものは人の師たるもので人の批難を受けないよう自戒の生活をして
いるが、世間一般の人間はそうではなく、したい放題の悪行に耽って
いると決めてしまって、だから俺たちだってこれぐらいはよかろうと悪
いことをやる。当人は世間の人はもっと悪いことをしている、俺のやる
のは大したことではないと思い込んでいるのだが、実は世間の人には
とてもやれないような悪どい事をやるのである。農村にもこの傾向が
あって、都会の人間は悪い、彼らは常に悪いことをしている、だから俺
たちだって少しぐらいはと考えて、実は都会の人よりも悪どいことを行
う。この傾向は宗教家にもある。自主的に思い又行うのではなく他を顧
みて思い又行うことがすでにいけないのだが、他を顧みるのが妄想的
なので、なおひどい。先生達が人間世界を悪く汚く解釈妄想しすぎてい
るので、私は驚いたものであった。」