2007年8月1日

 報道によれば、安倍首相は昨日(7月31日)、参院選大敗を受けた今度の内閣改造について「赤城農林水産大臣を含めて人心を一新していく」と述べたそうです。開いた口がふさがらないといわざるをえません。

 首相の権力行使の最も重要な手段が人事権であることはいうまでもありません。首相の意向に沿った判断を行う大臣等を確保するために人事権という伝家の宝刀を首相は持っているのです。安倍首相は内閣改造等の時期については「熟慮する」と繰り返すだけで明言しないそうです。一般には8月下旬以降とみられています。ということは、クビを宣言された大臣が約1ヶ月在任するということです。その間、赤城大臣に対する指揮命令権を事実上首相は失うことになるでしょう。すでにクビが約束されている以上、赤城大臣には首相の指揮命令に従わなければならない心理的契機がもはや存在しないからです。

 一方、赤城大臣の農林水産省内における指揮命令権も事実上失われることになります。近々クビになる大臣の命令にいったい誰が従うでしょう。

 首相、あるいは大臣の判断というのはすべて複雑な利害関係の調整をはらんでいるのであり、おててつないでみんな賛成というような生徒会のようなところとは違うのです。指揮命令権の確保というのが利害調整を主たる任務とする政治家の至上命題でなければなりません。もし赤城大臣をやめさせると宣言するのであれば、即刻やめさせなければ指揮命令権が貫徹しないことになります。 

 こんな権力行使のイロハもわかっていないということでは首相の命運はもはや尽きていると考えざるをえません。