2007年11月10日

 「赫奕(かくやく)たる逆光」とは野坂昭如による三島由紀夫伝の題名です。

 同書によれば三島は自分の出身がもともとは兵庫県志方町(現加古川市志方町)の農家であることを嫌い、隠したがっていたということです。

 明治維新の時に三島の祖父に当たる人が志方町から出て、樺太庁長官にまで上り詰めたのです。

 80年代後半だったでしょうか、兵庫に仕事があり、現場がどこかを知らずに行ったところ、志方町に案内されました。プロジェクトの推進者が志方町出身者でした。その推進者と現場に行き、プロジェクトが成功したら地元出身の三島由紀夫の顕彰碑をここに建てるのだと聞かされ、おいおいと思いました。直前に「赫奕たる逆光」を読んでおり、三島由紀夫がルーツを知られるのを嫌っていることを知っていたからです。

 私は仕事が変わってそのプロジェクトから離れ、その後そのプロジェクトもつぶれました。

 加古川市のホームページを探してみましたが、三島由紀夫の顕彰碑は建てられてはいないようです。「赫奕たる逆光」は、私が読んだのは「オール読み物」でしたが、その後単行本となり、文庫にもなりましたが、どちらも絶版のようです。三島伝としてはかなり面白いものだと思いましたが‥‥