2008年2月23日
沖縄の伝統的な墳墓は亀甲墓と呼ばれています。日本の一般的な墓参り風景に登場する墓の形態とはまったく異なり、一族で集う前庭部分を有し、かつ内部は6~8畳の広さがあるという大規模なものです。(太平洋戦争中には防空壕として使われたそうです。)名前のとおり亀の甲羅の形をしていますが、子宮を模したものといわれ、狭い入口が産道にあたるといわれています。人間は母の胎内から生まれ、母の胎内に戻るという思想です。
ところで、前方後円墳です。古墳時代の墳墓の最も発展した形態が前方後円墳です。その形態の所以についての個人的仮説です。
かつて岡山の吉備古墳群を見て回った時、たぶんこうもり塚古墳だったと思いますが、石棺が前方後円墳の後円部後方に置かれていることを知りました。前方後円墳全体を人体ととらえると、前方部が上半身にあたり、後円部が下半身にあたり、石棺は子宮の位置に置かれているように思えます。ここにも子宮回帰思想の反映があるように思われるのです。
墓の中心は後円部で、前方部は祭壇にあたるという説が有力なようですが、そうだとしても、沖縄の亀甲墓の構造との対比によって、古墳における子宮回帰思想の反映の可能性は残ると思われます。