2008年3月6日


 石油価格高騰のニュースが続く中、OPECは増産拒否の決定をしました。OPECがまたぞろ価格の高騰、高値維持を図っているというのが一般の受け止め方でしょう。  

 この受け止め方は半分の正解でしかないと思われます。というのは、第1次石油ショック(1973~1974)、第2次石油ショック(1979~1980)においてはOPECがまさにそのショックを演出したのですが、今回の事態に関してはOPECが石油価格決定の主導権を持っているとは言えないからです。

 今回の事態をもたらしているのは、ニューヨーク商品取引所におけるWTI原油先物市場を舞台にした投機マネーです。OPECはこの動きに受動的に対応しているのです。

 すなわち、価格天井感が出てきたら、投機マネーは一斉にこのマーケットから資金を引き上げます。オイル・バブルは崩壊します。その時、価格高騰に対応した増産によって需給が緩んでいる状態であったなら、OPECは底なしの価格低落に見舞われるでしょう。今回のOPECの決定は、そのストーリーには乗らないよ、というものなのです。

 さて、我が国においてコメを先物市場の取引商品にしようという動きが以前からあります。その動きに対して農協の全国組織である全農が一貫して強く反対しています。先物市場でコメの価格形成が行われるようになれば、自らの価格形成力を失ってしまう(現在でも極めて不十分な価格形成力でしかないのですが)ということを全農は恐れているのです。  

 先物市場に対する立場が全農とOPECとで共通しています。自由な市場で形成される価格が正しいとは、経済学の教科書が説くところであって、この社会でそんなことは信じていられません、という立場です。カジノ資本主義という金融主導経済に対する現物取扱い勢力からの異議申立てです。