2009年9月21日


 5年前から近くの居酒屋で月に1回開催される俳句の会「酔水会」に出ています。

 「酔水会」という名のとおり、俳句の会というよりは酒を飲む会です。

 季題を指定されて、季題をネタに思い出を探ったり、想像を働かせるのが面白くて、これまで続けてきました。

 雑想通信と改名したこともあり、「想」の報告も許されるであろうと、

700回をきっかけに、恥を顧みず、過去5年の拙句を披露させていただくことにしました。

 毎月1回の12回シリーズです。(もちろんその他の通信もできるだけ送ります。)


2004年9月  「しめじ」


 一段落ついて投げ込むしめじかな


くっついてここまでしめじ別れかな


にくとうふねぎしらたきとしめじかな


鍋で会うみなとしめじも初対面

しめじとは同県産の肉を食う


2005年9月  「蕎麦の花」


 思わざりそばの花ありその実あり


そば食って思うことなしそばの花


過疎のむらややにぎやかになるそばの花


そばの花街を思わず谷に咲く


たばこ作りの土地を鎮めりそばの花


2006年9月  「虫時雨」


 虫時雨あの声たぶんかもしれぬ


虫時雨などと感じる齢かな


虫時雨かすかにしみいる胃痛かな


声高し銀座こおろぎ虫時雨


虫時雨聞こえぬ深夜の読書かな



2007年9月  「新生姜」


 新生姜出る前消えし首相かな


甘い肌見せて辛みの新生姜


新生姜土から出でし象牙かな


南海道白磁と呼ばん新生姜


志ん生が洒落には使わず新生姜


2008年9月  「秋の蝶」


 秋の蝶渋い衣をまといけり


年上とされていかがや秋の蝶


秋の蝶冷たい風に乱高下


秋の蝶風の軽きに滑空す


秋の蝶ねぐら気になり遊ばれず


2009年9月  「小鳥」


 奸を討つ謀議の庭に小鳥来る


談合に疲れて下駄で小鳥聴く


軍列の二拍子無視し小鳥鳴く


あのふたり小鳥は知らず別れけり


小鳥来て話題逸らせし女かな