2010年2月18日(出来たて)
2010年2月 「余寒」
余寒とは言えぬきびしき余寒かな
餓鬼時代余寒は知らず呆けおり
激論が思わず止まる余寒かな
反省とともに来たりし余寒かな
余寒など他人(ひと)の話の今宵かな
2009年2月 「紅梅」
紅梅が咲いて当たり前の春となる
紅梅の咲きおる家に人住まず
世に乱れあれど紅梅我知らず
悪人も紅梅愛でて逃亡す
紅梅でお陀仏延びた死人かな
2008年2月 「バレンタイン」
バレンタイン恋に恋する群れ走る
バレンタイン無垢な気持ちが罪となる
バレンタイン石を蹴り込む橋の上
バレンタインチョコもそこまで思わざり
バレンタイン討ち入りの日と思い込む
2007年2月 「春菊」
春菊を苦く思いし頃もあり
春菊を初めて知った他家(よそ)の鍋
春菊を洗わず投げ入る闇の鍋
春菊は花咲かずとも世に渡る
かき揚げかちくわかごぼうか春菊か
2006年2月 「ふぐ」
親並みにふくれる子ふぐのけなげかな
投げ釣りの糸切断す子ふぐの歯
きゅいきゅいと鳴くちびふぐをリリースす
おとぼけで悪食(あくじき)隠すフグの顔
日韓の海峡ひしめくふぐの群れ
2005年2月 「囲炉裏」
囲炉裏なき時代を生きる寒さかな
囲炉裏あれば座るところも決まりけむ
語るべきことなく過ごす囲炉裏かな
(中越地震被災地域イメージで)
人逃げて雪暗(ゆきぐれ)の中の囲炉裏かな
傾きて小雪舞い入る囲炉裏かな