2009年9月30日
「般若心経」での「般若」とは、サンスクリッド語かパーリ語か、いずれにしろ古代インドの言葉で「智慧」を意味します。
一方、一般に「般若」と言えば、能などで使われる般若の面、要するに鬼の面を思い起こします。
言葉の起源から考えれば、「鬼」よりは「智慧」が先行しているに違いないはずですが、どういう経緯で「般若」が「鬼」になったのでしょうか。
日本では、昔から厄払い等の祈祷の際、「大般若転読行事」というものが盛んに行われていたそうです。
「般若転読」とは、大量のお経を読むことはせずにパラパラとページをめくることによって、そのお経を読んだことにして、その御利益を得ようというものです。
その「般若転読」を主内容とする祈祷には、追い払われる役回りの「鬼」が登場し、その「鬼」が「般若」と呼ばれるようになったのだそうです。
庶民にとって、お坊さんがお経をパラパラめくるよりは、「鬼」が追い払われる寸劇のほうが印象が強かったのでしょう。