2009年10月22日
2009年10月 「もみじ」
老残と言わせぬもみじ盛りかな
年老いてあとひと山ともみじ照る
全山にもみじ隠れるところなし
庭もみじ染める坊主の青頭
旅行けば祝うがごとき渓もみじ
2008年10月 「栗ごはん」
栗ごはん湯気に縄文の気配あり
丸々と何の祝いか栗ごはん
栗ごはんおかずはいらず汁いらず
栗ごはん海苔で巻いたらタイガーズ
面取りに大胆さあり栗ごはん
2007年10月 「菊」
折り取りもできず野菊が遠く咲く
残し来た野菊思いてひとり飲(や)る
菊花悲し罪を背負いて罪なきに
その国と呼ばれる菊の重さかな
2006年10月 「古酒」
「碧巌」の夜も結局古酒が出る
古酒注ぐ音静かなる時刻(とき)となる
古酒出して活字はよして写真読む
古酒残る夜明けのカットグラスかな
2005年10月 「自然薯」
自然薯や素直でないのが素直なり
自然薯や掘り取る爺の高笑い
自然薯やクマも探すにちがいなし
自然薯や遊びではなく遊びする
自然薯を採らずに終わる命かな
2004年10月 「星月夜」
星月夜ともにする歳はるかなり
星月夜あれはいずこの山なりし
宇宙対ひとりとなりぬ星月夜
星月夜音なき音があるを知る
星月夜グルグルして身は浮遊する
星月夜三茶上方数千キロ