2009年11月2日

 

 前通信の「滑舌」をめぐる読者とのやり取りから「蝶番」という言葉が登場してきました。
 日常的に使われている言葉なのに、漢字にされると読みがなかなか難しい言葉としての登場です。
 
 そして、読みの問題から離れて、この言葉から僕は命名の妙というものを強く感じました。
 あの地味な金具の姿から、言われてみれば確かにそうですが、蝶々をイメージするとは何と素晴らしいことでしょう。
 かつて、起重機の姿から鶴(crane)をイメージして、それを「クレーン」と呼ぶようになったことを知った感激以来の感激です。

 「蝶番」を和英辞典で調べると「a hinge」で、蝶々の影も形もありません。
 したがって、命名の妙の栄誉は「クレーン」とは違って日本にあるようです。

 「蝶番」も「クレーン」も、その製造、利用の世界から推定すると、命名は工学系起源のように思われます。
 ネジのことを雄ネジ、雌ネジなどと工学系には品のない命名もありますが、今回の場合は品のある、センスのいい命名です。

 なお、念のため、「蝶番」の読みは「ちょうつがい」です。