朝早く

まだ雨がぽつぽつと音をたてて降っていて

わたしは

ぼーっとしたあたまのままで

お味噌汁のお鍋を火にかけながら

コーヒーを淹れる準備をしていました。

 

 

そしたら、

窓の外から

聴き慣れた、大好きな鳥さんの声。

 

 

毎年この季節。

姿はなかなか見せてくれないのだけれど

すぐそこの電信柱に止まって

その美しいさえずりを聞かせてくれる。

 

 

それはまるで

おしゃべりをしているようで

聞き飽きることなのない、

ずっとさえずっていてほしいくらいの

心が安らいで

思わず微笑んでしまうような

そんな声。

 

 

この鳥さんの声に気づいたのは

もう10年以上前のこと。

 

 

大好きなひとが

突然に虹の橋を渡った初夏に

いつも朝早くに窓の外で

その声でさえずり

わたしのこころを和らげてくれたことが

はじまり。

 

 

それから毎年

あたたかな季節になると

誰にその存在を示すともなしに

その美しい声を響かせてくれるのです。

 

 

あー今年もこの季節が来たのだなぁ

わたしはそう感じて

窓をそっと

いつもよりもちょっとだけ広く開けて

いつでも昨日のことのように思い返せる

大好きなひとと過ごした

たくさんの時間を思い浮かべながら

その声を楽しませてもらうのです。

 

 

雨がちょっと強くなってきて

鳥さんの声は止んだけど

向こうの森に雨宿りに行ったかな。