小田急電鉄25000形NRSE車
東海旅客鉄道375系特急形電車

1996年、165系電車使用により東京-静岡間を運行していた急行『東海』を御殿場線経由で小田急電鉄新宿-沼津間を結ぶ特急『あさぎり』の増発並びに静岡への運転区間延伸に伴う代替に際し各1編成ずつ製造された特急形電車である。


小田急電鉄25000形NRSE車

車体構造は2階建てのTsを除き20000形のハイデッカー構造をやめ同時期に登場した30000形EXEと同じ平屋構造とし屋根板や床板にステンレス鋼を使用した以外は普通鋼を使用したが
前面形状は30000形EXEを基本としつつ20000形RSE車の要素を組み込んだ丸みを帯びた形状となり
側面形状は側面窓を高さ1,250mmの熱線吸収率の高いガラスを使用した連続窓風の外観とし側面客用扉は各車両とも1箇所で1000mmの複層ガラスを採用したペーパーハニカム構造の片開き引戸が採用された。
塗装は20000型RSE車と同一の
スーペリアホワイトをベースとし、窓周りと裾部分がオーシャンブルー(タヒチアンブルー)窓下・裾部分にオーキッドレッド(ピンク)の帯を配したものとなった。



編成は20000形RSE車から大幅に見直され

(新宿)デハ25000(M1c)-デハ25100(M2)-デハ25200(M3)-サハ25050(Ts1・2階建て階上スーパーシート/階下個室)-デハ25300(M4)-デハ25400(M5)-デハ25500(M6c)(沼津・静岡・小田原・箱根湯本)

の編成で
そのうちデハ25100(M2)とデハ25400(M5)は0.5M0.5T仕様とし実質5M2T編成とし
また2階建て特別車/スーパーシート車をサハ25050の1両に集約した構成となった。

車内設備は
20000形RSE車からの要素を受け継ぎながら30000形EXEの要素を取り入れ大幅に変更され各号車毎に車内配色を西伊豆、箱根、富士山麓、都内をテーマとしつつ座席形状や室内付帯設備の変更が図られた。
車内の付帯設備はM2、M3、M5に車椅子対応洋式トイレと化粧室を設置しTs1、M4に車内販売基地並びにサービスコーナーを設置し列車内専用の車椅子も常備する。
2階建てのスーパーシート車サハ25050は20000形RSE車より側窓の拡大を図り
2階席は20000形RSE車サハ20150・20250と同じ2+1列の大型リクライニングシートを配置し階下は4人がけのコンパートメント個室を2室設置し
デッキから2階客室並びに2階客室から反対側の貫通路へはJR北海道キロ182−500と同じくスロープを設け階下はデッキ・反対側の貫通路両方への螺旋状の階段を設け2階席/階下双方からデッキ、反対側の貫通路へ通り抜けできる構造となっている。
Ts1のサービスコーナーには2階席並びに階下個室からの
コールボタン表示盤を設置しTs1の各座席には6インチの液晶テレビ・読書灯やスチュワーデスのコールボタン・呼び出し灯を設置した。






車体寸法は
全幅2900mmとし
M、M'、Tの車体長19500mm・全長20000mm
Mc、M'c、Tsの車体長20750mm・全長21000mm
である。

走行機器は30000型EXEと同じく
制御方式をIGBT素子を用いたVVVFインバータ制御で主制御器1個で主電動機を1個単位で制御する個別制御方式を採用し、制御装置はデハ25000(M1c)とデハ25500(M6c)に6台の主電動機を制御する方式 (1C1M6群) の東芝SVF-024A形を搭載しデハ25200(M3)とデハ25300(M4)には1台の制御装置で4台の主電動機を制御する方式 (1C1M4群) の東芝SVF-024B形を搭載した。
主電動機を定格出力195kWのかご形三相誘導電動機東洋電機製造TDK6335-A形/三菱電機MB-5065-A形を採用し
台車は2000形や30000形EXEと同じ住友金属製モノリンク式軸箱支持形ボルスタレス台車だが
御殿場線走行対応並びに最高速度引き上げのため一部設計変更した電動台車SS146A/付随台車SS046Aとし、
歯車比は30000型EXEと同じく98:15=6.53
駆動装置も30000型EXEと同じくTD駆動である。
運転台機器は20000型RSE車や30000型EXEと同じく右手操作のワンハンドル式の主幹制御器となりカラー液晶モニタ表示器、EB装置も設置されている。
ブレーキ装置はJR東海全線への乗り入れを考慮し回生制動/発電制動併用電気指令電気演算式電磁直通制動 (MBSA-R) に直通予備ブレーキ・抑速ブレーキ勾配起動ブレーキ・応荷重装置を付加したものを採用し
M2、M5の床下に2両分の発電ブレーキ用抵抗器とM3、M4には制御装置と並び1両分の発電ブレーキ用抵抗器をそれぞれ設置し後に純電気ブレーキも付加された。
集電装置も30000型EXEと同一品のシングルアーム式パンタグラフPT7100形をM1c、M3、M4、M6cに各1基ずつ搭載。

車両走行性能は
設計最高速度:160km/h
運転最高速度:130km/h
起動加速度:3.0 km/h/s
減速度(初速100km/h)
4.0 km/h/s(常用最大)
4.5 km/h/s(非常)
(初速60km/h)
4.5 km/h/s(常用最大)
5.0 km/h/s(非常)
となる。



1996年の投入後20000型RSE車、JR東海371系・375系電車ととも特急『あさぎり』の小田急新宿−御殿場線経由−東海道本線静岡までの運用に投入された他、小田急線内の『スーパーはこね』の運用にも投入され
保安装置はOM-ATS、ATS-STに加え後にD-ATS-P、ATS-PTを設置。
2017年に車体内外更新・走行機器更新・車内Wi-Fi設置などのリニューアル更新工事を行い引き続き使用されている。