4月25日(土)に出場してまいりました。
この数ヶ月の僕の練習は全てこの日の為にありました。
二次元系サイクリストの祭典

第2回 GSRカップ

レポートです。
この大会は、アニメ、漫画等をモチーフにしたサイクルジャージ着用、もしくはコスプレをする事が参加条件という
正にオタク専用サイクルロードレースです。
こんな大会あったらいいなって、痛ジャージが世に出始めた頃からずっと思っていたのですが、
まさか本当に開催されるとは夢にも思いませんでした。
正に夢のスペシャルレース!!
第一回に続いて、勿論参加して参りました。

会場は千葉県にある茂原ツインサーキット。
名古屋からは大変遠いので、レース前日の夜に新幹線で東京まで移動、
東京でレンタカーを利用して会場入りという二段作戦で会場入りしました。

当日朝、会場へ向かう道すがら、自走で参加する選手の皆さんを自動車で何人か追い抜きましたが、
殆どの皆さんが痛ディスクホイールでした。
それが、ある程度間隔を開けて順番に走っているのです。
まるでTT選手権のような光景でした。

会場に到着すると、当たり前ですがもうオタクしか居ません。
右を見ても左を見てもオタクです。
しかもそんじょそこらのオタクじゃありません。
自転車も乗っちゃうアクティブでスポーティーなオタク達です。
もう、選手の皆さんのジャージやらコスプレやらを眺めてるだけでも楽しいですね。

当日の僕のジャージは、けいおん!の澪。
というか、痛ジャージコレしか持ってないんですけどね。
貴重な一張羅を出しての晴れ舞台です。

今回僕がエントリーしたのはクリテリウム・アスリートクラスと3時間チームエンデューロ・ロードの部。
クリテの方は、その上にチャンピオンクラスというのが設定されていたので、
僕が出場したのは「アスリート」とはなっていますが、実質的には下級カテゴリーですね。
エンデューロは、2時間、3時間、その両方を走っちゃう5時間とクラスがありましたが、
クリテのスタート時間等の兼ね合いも考えて3時間にエントリーでした。

午前中の2時間エンデューロはエントリーしていないので、その間、
コースを走る選手達を観戦したり、会場内を散策したりと、楽しんでいると、
普段、twitter上では色々お話させていただいていましたが、
リアルではなかなかお会い出来なかった方とご挨拶させていただける機会に恵まれました。
こういうイベントは、そういう機会の場にもなるので本当に楽しいですね。

まずはお昼に行われた、クリテリウム・アスリートクラスを振り返ります。
第一回でもクリテに出場しましたが、その時は故障明けで十分に練習出来ないままの参加となり、
あっという間に脚切りになったという、なんともお恥ずかしい結果でした。
今度こそはと望んだ第二回、さて、どうなったでしょうか。

スタート前、早めに召集場所に移動し、最前列を確保しました。
しかも一番観客席に近い左端のポジションです。
本格的なビデオカメラを持った撮影班の方が僕の真横でカメラを回していました。
きっちり美味しいところを頂いておきましたよ。
しかし、浮かれてばかりも居られません、
イベントとはいえ、レースはレース。しっかり走ろうと気合を入れて、スタートに望みました。

今回のコースは、本来カート用に作られたかなりテクニカルなサーキットで、
沢山のコーナーを含む1.17kmの短い周回コースです。
アスリートクラスではコレを10周回で争います。
スタートは、パレード区間無しの0スタートでした。
クリートキャッチのミス一つで大きく戦況が変わる、いきなり緊張の場面です。
丁寧にクリートを嵌めて、無事に流れに乗ってスタートできました。
まずは登り勾配になっているホームストレートを、各選手少し牽制加減に進んで行きます。
最前列スタートを生かして、前から数人の番手に入る事が出来ました。
おそらく、自分よりかなり格上の選手が数人混ざっているであろうと予想していたので、
自分で前に出る事はせず、上手く他の選手の後ろを取りたいと思っていました。
ホームストレートを上りきると、シケイン、スプーンカーブと続く下り勾配の連続コーナーが始まります。
僕が苦しんだのはやはりこの区間でした。
コーナーワークに難がある僕。
特にこうしたサーキットコースでのレース経験が少なく、元々のセンスも皆無なため、
サーキット独特のコーナーワークの速度がイマイチ掴めないのです。
結果、他の選手よりもかなり減速してコーナーに入るため、
立ち上がりで前の選手とぐっと差が開いてしまいます。
レース序盤、なんとか先頭の数名の選手達に食い下がっていましたが、
コーナーでの遅れを他で取り戻すという、かなり厳しい状況でした。
ホームストレートの登り勾配で必死に先頭集団に戻る僕の姿を、
すばらしい追い上げであると賞賛のお声を頂きましたが、
違うんです、コーナーが下手過ぎて無駄脚使ってるだけなんです。
そんな事を繰り返して、何周回かはメイン集団で粘りましたが、
脚が無くなった所で千切れてしまい、事実上のレース終了。
先頭がゴールするまでは脚切りは無いカテゴリーなので、後は最後までコースを回る事になりました。
マイペースに戻して単独でレースを進行していくと、やがて周回遅れの選手を数名ラップしました。
その中になんと、けいおん!の澪のジャージを着用した選手を発見。
けいおん!のジャージは数年に渡り発売され、各年毎にデザインが異なります。
その選手は僕の物とは違うデザイン、つまり別の年代のジャージですが、
とにかく同キャラのジャージです。
クリテリウムの数少ない参加選手の中で、コレは貴重な場面だと思い、
その選手の前に出て牽引する意思を示しました。
すると、サイクリストとしての本能なのか、オタクとしての直感なのか、
直ぐに理解してくださり、番手についてくれました。
出来るだけペースを落とし、二人でメインスタンド前を目指します。
後続の選手は少しキツそうでしたが、それでも頑張って付いてきて下さいました。
そして、沢山の観客が見守るスタンド前のホームストレートを2人で通過!!
見ていてくれた皆さんにアピール出来てとても楽しかったです。
一度ホームストレートを通過した所で再度単独となり、後はゴールを目指すばかりとなりました。
残り2周回になったところで後ろを確認すると、何と先導バイクが迫ってきていました。
当然、そのバイクの少し後ろには、先頭の選手が居ます。
なんと自分が周回遅れになってしまう大ピンチでした。
アピールタイムを得てすっかり気が抜けていた僕ですが、コレはイカンと、再点火。
決死の逃亡が始まります。
苦手なコーナーワークに半ベソ状態になりながら、とにかく周回遅れになるまいと悪あがき。
もう直ぐ後ろに先頭の選手が見えているような状態で、ギリギリでコントロールラインを通過!
何とか周回遅れになる事無く、レースを終える事が出来ました。
結果は54人出場のうち、23位でした。まぁ、可も無く不可も無くといった所でしょうか。
第一回は半分も走らないうちに脚切りだった事を思えば、それなりに走れるようにはなったかな。

レースを終え、ピットに戻ると、次の3時間エンデューロでチームを組む凶鳥さんが迎えて下さいました。
序盤に格上の選手に食い下がり、最後に周回遅れ回避のもがきも入り、すっかり疲れ果ててしまった僕、
特に呼吸器系のダメージが大きく、しばらくその場で咳きを繰り返しながらのた打ち回るような状況でした。
病人の介抱のような状態で凶鳥さんに世話を焼いて貰い、どうにか回復しましたよ。

そうこうしているうちに、次の3時間エンデューロのスタートが迫って参ります。
このエンデューロは、「きらめき高校自転車部55」というチーム名で、
凶鳥さんと2人のチームでの参加でした。
このチーム名、実はお互いに作品等が揃っている痛ジャージを持っておらず、
それならいっそ、適当にもうジャージは忘れて、お互いが知ってる作品からチーム名をつけてしまおうって事で
「ときめきメモリアル」から頂いて参りました。

その場で蹲ってるような状態は脱したものの、
まだまだぐったりしている僕に、「しばらく休んでて下さい。行って来ます!」とコースへ向かう凶鳥さん。
その背中のなんと男前な事でしょう! *但し、痛ジャージ

そして遂に本日最後のレース、3時間エンデューロが始まります。
ピットで朦朧とした意識のままに、スタートの号砲を聞きました。
凶鳥さんが頑張ってくれています。
その間に僕は、まず、乱れた呼吸を戻し、正常な状態を取り戻す事に勤めました。
なんとか息を整えると、次は食事です。
食事は大事です。次のレースを走るためにエネルギーを確保しなくてはいけません。
そして自転車競技における食事の重要性を把握し、出場選手全員をサポートしてくれるのがGSRカップ!!
なんとこの大会は、出場選手には白米が無償で供与されるのです!!!
レストハウスででっかいおにぎりを貰って頂きました。
疲労と空腹のお陰か、それともよほど上質なお米だったのか、とにかく美味しいご飯でした。
ようやく自分を取り戻したところで、コースの様子を見てみると、
やはり予想通り、凶鳥さんがすさまじいペースで走っていました。
他の選手と上手く協調して、どんどんコース上の選手をパスして行きます。
僕が苦労していたコーナーのライン取りも見事な物、やはり強いです。
ちなみに、我々の交代の作戦は至極単純。
それぞれがだいたい半分ずつ走る。それだけです。ピットストップは何と1回の予定でした。
予定の時間より少し早めにピットで待機していましたが、
コースを走る凶鳥さんが何やら交代のサインを出していました。
まだ早いと思っていましたが、意外と時間が過ぎていたのかなと、深く考えずにスタート準備。
やがてピットに戻ってくる凶鳥さん。
普段は柔和な雰囲気の彼ですが、この時ばかりは疲れきっていました。
本当に頑張ってくれてたんだなと意気に感じて、チップを受け継ぎ、青レンジャー、コースイン。

さて、この3時間エンデューロ、そもそもは僕も凶鳥さんもそれほど順位を意識していませんでした。
元々、僕と凶鳥さんとではかなり実力差があり、僕が殆ど走らず凶鳥さんに任せてしまった方が
間違いなく速いはずです。それでも僕が1時間以上走る配分で行くというのはそういうこと。
お互いがレースを精一杯楽しもうという趣旨なのです。
もちろん、だからと言って手を抜く訳ではありません。それぞれが各自の持ち時間を頑張って走ります。
一生懸命走るからこそ、自転車は、レースは楽しいのです。

コースインの直後、まずは3周回ほど自分のペースを探して走ります。
この時役立つのが、GPSサイコンによるラップ計測。
コントロールライン通過毎にラップタイムを刻むよう設定してありました、
特に今回のような短いコースでのエンデューロでは、ラップを刻む間隔が短くなり、
自分のコンディションを把握しやすくなるので凄く便利です。
ラップを随時確認してオーバーペースを防ごうというワケですね。
何週かしてみて、一周2分5秒辺りが自分の基準になりそうかなとあたりをつけました。
後は出来るだけ上手な選手の後ろに付いて出来るだけ無理はせず、タイムを稼げるよう走ります。
しかしこの2分間ペースというのは、それほど速いわけでもなく、どんどん他の選手から追い抜かれます。
やはり強い選手やチームは5時間にエントリーしている方が多いらしく、
僕を追い抜いていくのは殆どが5時間エンデューロのゼッケンを付けていました。
しかし、勿論自分達と同クラスの3時間エンデューロの選手も僕を容赦なく追い抜いて行きます。
実はこの時、僕は自分達のチームの順位を全く把握していませんでした。
自分の追い抜かれ具合を見て、
(あぁ、やっぱ上位入賞は無いなこりゃ・・・)
と、悟ってしまい、益々順位を意識する事を止めてしまいました。
とにかく、自分が貰った時間を精一杯走りきる事、それが目標でした。
他の選手の番手を使いながら、レースを進行して行きます。
出来るだけ強い選手や、交代でコースインした直後の脚がフレッシュな選手に狙いを絞り、
上手く乗り継ぎを繰り返して少しづつペースを上げていきます。
強い選手の番手を探し続けるのは、少しオーバーペース気味な気もしましたが、
どうにか走れているうちは頑張ろうと格上の選手達に付いていきます。
しかし、やはりペースに多少無理があったようで、40分ほど走った頃に脚がつりかけて来ました。
しかもつりそうになっている部位はなんと左足首。
いままで脹脛や太ももがつる事はあっても足首なんて初めての経験です。
一周の周回ペースを2分15秒あたりまで落として回復を図りました。
ペダリングも、それまで得意のシッティングばかりでしたが、
意図的に力を入れないダンシングを混ぜ、それまでとは違う体の使い方をするようにしました。
それでも状態が戻らないようなら一度ピットインも頭を過ぎります。
そんな状態でしばらく周回を重ねていくと、
足首の疲れは抜け、徐々に脚が元の動きを取り戻してきてくれました。
この様子なら、なんとかピットインは避けられそうです。
さらに周回を重ねると、脚がつりかけるよりも前の状態と殆ど変わらないよな様子で
ペダリングできるまでに回復し、ほっと一安心です。
さらに後半戦へ向けてレースは進みます。
ピットレーンでは凶鳥さんが何度も姿を見せてくださり、前を通る度に声をかけて下さいます。
時折、交代しなくても大丈夫か?と心配してくださいましたが、
チームとして預けらた時間である以上、問題が無い限りは精一杯走り続けるべきだと思い、
「大丈夫、行けます!」と答えて走り続けました。
更に残り時間が少なくなって来た頃、
下り区間では下ハンドルを握り出来るだけ頭を下げて走る、エアロスタイルを取り入れました。
より深い前傾をするスタイルで、空気抵抗は減らせるのですが、
前傾すればするほどに、体は疲れてきて、序盤からあまり深い前傾を取ってしまうと、
ゴールにたどり着く前に上半身の筋肉が疲れきってしまいます。
それを避ける為、序盤はあえてそうしたポジションを取らずにいたのです。
残り時間も少なくなって来た頃にようやくそれを開放し、いよいよ最後のゴールへと向かっていきます。
やがて場内では、残り10分がアナウンスされました。
それまではオーパーペースに注意していましたが、あとは残り僅か、出し惜しみをせずペースを上げます。
序盤なら追走を諦めていたレベルの選手の番手に入り、最後のひと踏み頑張ってレースを終えました。

レースを終えてピットロードに戻ると、
チームを問わず、沢山の皆さんが最後にコースに出ていた全員を出迎えてくれました。
本当にすばらしい光景でした。これだから、オタクも、自転車も止められないのです。

続いては表彰式。
実はその時、自分達がどんな順位なのか全く把握していませんでした。
むしろ、他のチームを称える為に表彰式を観に行く感じだったのですが。
なにやら、意外と自分達は途中の2時間の時点までなんと1位だった事が判明。
え??本当に???
ゴール後の順位は表彰の直前まで知らされなかったので、もしかしてもしかしたらとドキドキでした。
そして遂に、3時間ロードの部の表彰が始まります。
3位から順に各チームが発表され、いよいよ1位

「きらめき高校自転車部55」

まさかの優勝です!!
沢山の参加者の皆さんが見守る中、夢の表彰台へと上がらせて頂きました。
あまり感情表現が上手ではないので周りの皆さんに伝わりにくかったかもしれませんが、
本当に本当に嬉しかったです。
更に嬉しい事に、この大会は各カテゴリーの優勝者にリーダージャージが用意されています。
様々レースが各地で行われていますが、リーダージャージがある大会は貴重。
そんな中でジャージをもらえる大会で優勝出来たというのは何と幸運な事でしょうか。
まして、この大会は、オタクのためのサイクルロードレース。
リーダージャージも勿論、初音ミクの痛ジャージです!!!
マイヨ・ジョーヌならぬ、マイヨ・ミクとでも呼びましょうか。
表彰台の上で、ジャージを贈呈されました。

さてこのリーダージャージ、
僕は当然、誰かが着せてくれる物かと思っていたら、何気に、「はい」って感じで手渡されてしまいました。
ふむ、壇上は確かに狭いし、自分で着ればいいのかなと、早速袖を通すと、
表彰式の進行の役の方に、「え?もう着て頂けるんですか??」と驚かれてしまいました。
え?表彰式でジャージ渡されたら、そりゃ着ますよ!!着させて下さい!!!お願いします!!!!

そして感動のリーダージャージを着てのフォトセッション。
沢山のフラッシュを浴びて、ちょっとだけ、マイヨ・ジョーヌ気分を味合わせて頂きました。
改めて言います。本当に本当に嬉しかったです。


唯一残念だったのは、
この表彰式に、諸事情でこの勝利の立役者、凶鳥さんが参加出来なかった事。
後ほど何度も感謝の言葉を伝えましたが、伝えきれないほどに感謝しています。



ずっと楽しみにしていた大会で最高の結果が得られ、
しつこいようですが物凄く幸せでした。
その日、レースに関わった皆さんは勿論の事、
今日まで僕と自転車を通じて関わって下さった全ての皆さんのお陰だと思います。
全ての皆さんに感謝を。
またこんな日が再びやってくる事を夢見て、明日もまた自転車で走ります。

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