Coupe de AACA
東海地域で先月から始まった新しいロードレースシリーズ戦です。
参加選手の意識を変え、欧州で行われるような動きのあるレースを、という主旨を掲げ、
また、レースの場をより多く提供しようと、加藤少年さんが企画して下さいました。
いったいどういうレース運びをすれば、欧州のようなレースになるのか?
僕なりに加藤さんのコラムや動画を観て飲み込んだ結果こういう事ではないかという考えに行き着きました。

「集団の前に出る時は必勝を賭したアタック、なんとなく大集団の先頭を引いてはいけない」

ふむ。
思い起こせば、とにかく先頭に出て、先頭に出たからには集団を引かねばならんと思い走っていた僕。
勝つための走り、勝つための仕掛けを意識して、このシリーズには挑もうと考えていました。

今回が二回目の開催。
前回、長良川会場で行われた第一戦は、残念ながら所用で参加出来ず、
今日、念願の参加となりました。
この第二戦の会場はなんと、勝手知ったる平田リバーサイドプラザ。
そう、いつも岐阜車連主催のレースが行われる河川敷公園です。
もはや僕のホームコース、いや、庭と言ってもいい場所、これは頑張らねばなりません。

当日朝、天気は荒れる予報でしたが、自宅を出る段階ではまだ曇り空。
なんとかレースの間堪えて欲しいと祈っていましたが、
会場に到着した時点で既にずいぶん雨が降ってしまっていて、路面も完全いウェット。
正直この段階ではDNSがかなり視野に入っていました。
スタート時間が近づいてきますが、会場はあまり選手が集まっている様子がありません。
せっかく開催されるレース、このままでは残念だなと思いました。
そこで、スタート直前まで様子を観て
自分がエントリーしたカテゴリー4の選手が少ないようなら自分も走ろうと決めました。
ちゃんと走れるようアップをしつつ、選手が集まることを祈りました。
そして召集時間、やはり選手は少ないまま、それならばこの青レンジャー人肌脱ぎましょう!
出走確定です。
エントリー26名ぐらい、スタートは僅か9名でした。

何度も走った平田リバーサイドプラザですが、今回は普段とは逆回り。
そしてゴール地点も少し普段とは違い、4コーナー(岐阜車連のレースでは1コーナー)から僅か200m弱の
駐車場の目の前がコントロールラインになります。
もし自分がゴールを獲るなら、この短いストレートだけで他の選手を抜き去るのは不可能、
最終コーナーを先頭で立ち上がるのが絶対条件かと思いました。

雨に打たれながら、カテゴリー4のレースが遂に始まります。
普段の岐阜車連平田クリテC4より一周回多い、7周回で争われます
スタート直後。
少しゆったりした感じで集団がレースに入りました。
僕でも先頭を引けそうなペースです。普段ならここで、先ずは挨拶代わりと先頭に出て行った事でしょう。
しかし、今回は冒頭で書いたように守る所と攻める所をしっかりメリハリをつけるのが目標。
ここは守る所です。
周囲の選手の様子をみつつ、脚を合わせて付いて行きました。
元気な選手がペースを上げ始め、少し縦長気味で先ずは最初のコーナーに入ります。
1コーナーは道幅もそれなりにある、比較的入りやすいカーブです。
それでも普段とは全く逆回りというのは、なまじコースを知っているだけに怖いもの、
そのうえ完全なウェットコンディション。
とにかく慎重に進入しました。
レースを盛り上げようと参加を決めておいて、落車していたのでは話になりません。
たとえ他の選手に置いていかれても、
今日の全てのコーナーは自分の力量で曲がれる速度でクリアしようと決めていました。
短い直線を過ぎ、2コーナーの立ち上がり。
バックストレートに入ると、やはり僕の前を走っていた選手と少し水が開いてしまいます。
出場していた選手の中でも、恐らく僕が一番コーナーワークは悪かったと思います。
しかし、他の選手もこのコンディションでかなり速度を落としてコーナーを回っていますし、
人数も少ないので、普段の平田クリテの時ほどはインターバルはかかりませんでした。
立ち上がった直後は踏んでいかねばなりませんが、それて千切られる心配はしなくて良さそうです。
時折ペースを上げようかという動きを見せる選手は居たものの、
大きな動きは無いまましばらくはレースが進みます。
殆どの選手がまだ残った状態でたしか二周回は周ったかと思います。
レースが動き出したのは3周回目。
この3周回と次の4周回のコントロールライン通過には周回賞がかかっていました。
僕はこの周回賞、全部捨てていました。
ここでポイント賞争いをしたところで、スプリント力に欠ける僕に獲るのは難しい。
他の選手がこの争いで脚をつかうなら、自分はここでは脚を貯めて、
勝ちを獲りにいくにせよ、勝てないまでも何処かで一発目立つにせよ、
別の場面で勝負すべきと考えていたのです。
この周回賞で集団がペースアップ。見送りを決め込んだ僕は集団の後についていく形。
先頭付近の選手達がその争いをライン通過後そのまま続けるような形で二人の選手が抜け出しました。
遂に主催者の意図に沿ったような、アタックがかかる動きのあるレースが始まった感じ。
誰もこの形を作らないのであれば、脚が残っていれば僕が周回賞争い終了後に動きたいところでしたが、
先に動いていく選手が現れてくれました。
こうなった場合、ブリッジをかけて集団全員を引き連れていくような追走は
このレースの開催主旨とは違うのかなと考えた僕。
もし追いつくなら、単独、もしくは一人、二人を引き連れて集団から離れ、
先頭を逃げる選手に合流して一緒に逃げる、
あるいは、泳がせておいて逃げる選手が疲弊したところで追いついて抜き去るか。
このときの僕は後者を選びました。
まだ先が長い段階で後続を置き去りにして先頭に追いつくような脚を使えば僕では最後まで持たない、
このまま逃げ切られるようなら逃げている選手は最初から勝てない相手であったと思うしかありません。
追走をかけようという選手の動きもありましたが、僕はそれに協力することはせず、
自分が前に出るときはじわじわと差を詰める感覚で走りました。
逃げはいつの間にか一人になり、それを僕を含むメイン集団が追う展開。
その頃には集団もすっかり小さくなって、僕も合わせて4,5人でした。
途中、集団から一人で追走をかける選手が現れ、一度は先頭に追いつきましたが、長くは続かず、
結局一人対集団の図式は変わりません。
逃げる選手、単独で追いつこうと集団から抜け出した選手、
どちらも大会の主旨に沿った見事なレースだと関心させられました。
単独で逃げ続ける選手はやはりかなり脚があるようで、簡単には落ちてきません。
集団の中で脚を残しつつ、ジワジワと差を詰めて行きます。
残り2周の周回も終りに差し掛かった頃でもまだ逃げる選手は遠い
これで本当に捕まえられるのか?
やはり少し不安になりました。
僕の感覚ではギリギリの射程圏内。
もう自分で捕まえに動くか、もう少し粘って脚を残すか、
葛藤をしながら3,4コーナーを回りコントロールラインを通過。
ジャンを聞いて最終周回へ突入。
ここで僕が押し出されるように先頭にでてしまいました。
もういっそ踏んで捕まえに行きたいところでしたが、もう少し、もう少しだけ我慢です。
僕は急いで追わないよ~ と背中でアピールして引き続きジワジワ差を詰めるペースを維持。
見るに見かねたのか、他の選手が先頭に出てきました。
ここからは何処で仕掛けるのか、アタックをかけるタイミングを探ります。
理想は自分が脚を残したまま集団で逃げを吸収し、直後のカウンターアタック。
なんとか捕まえてくれよと祈りながらホームストレートを通過、
3,4コーナーを回ってバックストレートへ。
まだ逃げと集団とは少し差がありました。
コーナーワークが最も悪く、かつ、スプリントにも自信が無い僕にとって、
一着を獲るためには最終コーナーは先頭で回るのが絶対条件。あわよくば後続を離して周りたい。
それを実現するためのギリギリのタイミングを探していたのです。
まだ逃げを捕まえていませんでしたが、もうバックストレートに入ってしまえば残りの距離は僅か、
カウンターにはなりませんが、もう待てません。

ここまで回す事を意識して軽めにしていたリアのギアを三つ上げ、
普段は殆ど使わない下ハンドルを握り、
4人集団の最後方から、
電撃の青レンジャーアタック!!

終盤に来てのこの動きに即座に反応できなかった集団を引き離す事に成功。
そのまま勢いに乗って逃げる選手を捕まえにかかります。
単独で追いつけるのか不安でした。
届け、届けと祈りながら脚を回します。
水溜りを突き抜け、水しぶきを上げながらこれまで少しずつ詰めていた差を一気に縮めます。
まだ3コーナーまで幾分距離を残した所でその背中を捕らえました。
先に書いたように、コーナーもスプリントも自信の無い僕は、
この逃げていた選手を3コーナーまで連れていくわけには行きません。
コースを広く使って、逃げる選手から出来るだけ遠いラインを通って一気に抜き去ります。
これで単独先頭。
逃げていた選手も集団も離した形で3、4コーナーに侵入。
ここで転ぶわけには行きません。
落ち着いて、落ち着いて、たとえ後続が迫っても、自分の回れる速度で慎重に、慎重に。
やはり後続との差が詰まってしまっていました、追ってきてる選手が近づいたのがなんとなく解ります。
そして最後のストレート。
バックストレートでアタックしているだけに、もうスプリントの脚は残っていません。
逃げ粘るのが精一杯。
右側から一人、並びかける勢いで伸びてきていました。
メイン集団に居た選手の一人です。
ゴールライン目前。
とにかく前を向いて、萎えた脚をどうにか回し、
慣れないながらもハンドルを投げる姿勢でコントロールラインを通過!

勝ちに慣れている選手なら、この段階で既になんとなく解るのだと思うのですが、
何せゴール争いとは無縁の自転車生活を送って来た僕。
本当に勝てたのだろうか?実は最後に差し込まれていたんじゃないだろうかと半信半疑。
なんだかうろたえ気味にメイン会場の駐車場へ戻りました。
すると、観戦してくださっていた沢山の皆さんが、僕を囲んで握手を求めて下さいます。
ふむ、やっぱり勝ってるみたい・・・。
それでもまだまだ実感が沸かない、勝利を知らぬ青レンジャー。
なんとなく、webでの報告を躊躇ってしまいました。
ゴール後の勝利者の記念写真を撮っていただく為に加藤さんに呼んでいただき撮影!
ここまでやってようやく勝ったんだなと確信できました。

青レンジャー、初優勝です!

子供の頃から運動音痴で鳴らした僕。
運動会のかけっこでも一番になった事はありません。
運動部に所属しても補欠どころかベンチにすら入れませんでした。
そんな僕が、遂にレースで一着になることが出来ました。
雨の降りしきる河川敷に舞い降りた小さな奇跡!

応援してくださった皆さん、
僕が自転車に乗り始めてから今日まで一緒に走って下さった全ての皆さんに感謝します。
ありがとうございました。





(でさぁ)
ん?
(鈴鹿のブログはまだ出てないんだけど)
んん?
(どーすんの?どーなってんの??)
・・・・まぁそのうちに、ね・・・。
(ホントかよオイ。)