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あなたを想い続けて私は猫になった第21章後編


美鈴は数日この公園を寝ぐらにして

昼間は情報収集に回った。

本来の人懐っこい性格の美鈴は

寅猫さんの仲間入たちとすぐに打ち解けた。

居心地もまあまあだ。

このまま猫でいいかも。なんて思えた。

良き出会いがあったから。

寅猫さんは

近所でも有名人で。あ、有名猫のようだった。

なんでも英雄とか。

詳しいことはとくに興味ないので聞かなかった。


人間からも寅さんって呼ばれていた。

やっぱりそのままかぁ。

ぷぷ

思わず笑ってしまった。

隣りで寅さんは神妙な顔で私を覗き込んでいた。

「おまえ大丈夫かぁ?まさか俺様に恋をしたか⁈

やめとけ苦労するぜ。何せ俺様はモテるからな」

自分で言っておいて大ウケしてる。

そんな姿を見ながら

和磨とこんなふうにふざけ合ってよく笑ってたな。

想い返して涙が出てきた。


寅さんは気づいたようだが見ないふりしていた。


(いいやつ…)


そんな穏やかなら日々を送っていたある日


和磨の情報が入った。


和磨の住んでいるアパート近くまで向かう車がこの公園に来るという。どんな車だろ。乗り込めるかな?

和磨と関係ある車なのかな。


お別れのとき


車がこの公園に来る朝。

美鈴は仲間入り猫さんに挨拶をして回った。

軽トラがやってきた。この車かな。

この公園でイベントの下見に来たようだ

こっそり荷台に乗り込む。

猫たちが美鈴を見送るように周りに集まってきた。涙する猫がいた。

美鈴ももらい泣き。

スタッフらしき人が車に戻ってきた。

いよいよこの公園とお別れ。

美鈴は辺りを見渡した。


寅さんがいない…


車が動き出した。

寅はとうとう姿を見せなかった。


寅さん有難う♡


美鈴は心の中で手を振った。


軽トラの行先を滑り台から見つめている


1匹の猫がいた


元気でな…