歩き出す先には
考えた。
どうしたらあそこまで行けるか
人間であったらどうってことはない
自家用もあるし電車やバスに乗れば楽に行くことができるが今は猫だ…
考えるより行ってみるか…
美鈴は手作りポシェットにスマホを入れて首に下げた
猫がスマホってね
でも必需品。
でも使えるかな…
マンションの1階に降りて玄関を出た時だった
不思議なことに気づいた
このマンションセキュリティしっかりしているはず
猫が自由に出入りできるの?
何度も出入りしていたのに
気づかなかった
今、気づいた
まぁ。とにかくそういうわけだ
わたしには助かることだし
美鈴は空を見上げた
お日様が微笑んでいるように見える
ゆっくり歩き始めた
歩けるところまで
休み休み行こう
マンションを出て右へ折れて進んだ
すぐにバス停が見える
駅行きのバスが向かって来た
あーバスに乗れたらなぁ
バス停に立ち止まりバスを見ていた
ピッピッピッピ
バスが停車した
前扉が開く
ん?誰か乗るのか?降りるのか?
辺りを見たが乗車する人も下車する人の姿は見えない
バスの運転手がこちらを見た
早く乗って!みたいな表情をした
ん?
戸惑ったがバスのステップに前足をかけた
後ろ足をかけた。
運転手「発車します」
バスは美鈴を乗せて走り出す
わけがわからないが
とにかくラッキー
でも降りるときどうする?
誰かについて急いで降りるか
「次は中央3丁目」
あ、次で降りるんだ
ピンポン
誰か押してくれた
美鈴の隣りに立っていた女性が降りるようだ
一緒に降りれるかな
ドキドキと心臓の鼓動が激しくなる
女性の足元に体を寄せて
一緒に降りた
降りれた!
チラッとバスを振り返る
バスの運転手は前を向いている
気づかれなかったかな
とにかくラッキーだ。
ここからなら友達のトラックが駐車している場所に
なら歩けるだろう
コンビニの駐車場に着いた
こちらで友達は食事をして休憩する
何台かトラックが停車している
友達の会社のトラックはいるかな?
いないかぁ
会社のトラックさえ見当たらないわ
昼過ぎてもトラックは来ない
ダメか
辺りは次第に暗くなってきた
お腹空いたな
ポシェットに飴を入れていたかも
あ。あった!
美鈴は飴で空腹を紛らせた
