暗闇の中
ギラギラ光る目が4つ
美鈴の目
木彫りの黒猫の目
互いに見つめ合った
言葉はないが
美鈴は木彫りの黒猫から
何か波長のようなものを感じる
美鈴の目から涙が溢れた
木彫りの黒猫の目からも涙が溢れた
互いを抱きしめた
いや。
そんな感覚を覚えたというのが本当のところだろうか
美鈴…
和磨…
霧の森
和磨と美鈴は互いに手を繋ぎ
森の奥へ歩いて行った
あ!美鈴は木の根に足を取られて転んでしまった
痛たたた
和磨ー!
ん?
気配を感じない
顔をあげて周りを見た
和磨が遥か向こうを歩いている
和磨!和磨!
叫んだが
和磨は振り返ることもなく歩いている
そして霧の奥に消えた
和磨ーー!
美鈴は泣きながら立ち上がった
そこで目が覚める
また悪夢を見た…
第12章へ続く
