
あるところに美男美女の夫婦がいた。
周りも羨むほどのお似合いのカップルであった。彼らには結婚後間もなくして子供が生まれた。美男美女の子供なので、どれだけかわいい子供が生まれてくるだろう。周りは期待した。しかし、生まれてきた子供は醜い子供だったという。
美男美女の夫婦はがっかりした。子供が成長していくにつれ、子供の醜さは際立った。
やがて夫婦仲もさめてきた。
ある日、夫婦と子供は公園へ出かけた。手漕ぎのボートに乗って池の真ん中までいった。時刻は夕方頃で周囲に人はいなかったという。
そして、あろう事か夫婦は子供をボートから池に落としてしまった。その後、夫婦は口を揃えて子供は事故で亡くなったと主張して、警察も事故死と認定した。
夫婦仲は再び良くなり、2人目の子供を授かる事となった。2人目の子はこの世の子供とは思えないほど可愛い子供だったという。
子供が成長して喋るようになった頃、子供は池のボートに乗りたいとせがんだ。夫婦は子供を池に連れて行きボートに乗せてやった。
やがてボートが池の真ん中までくると子供がぽつりと呟いた。
「今度は・・・落とさないでね」