愛するアランのおはなしNo.5


助手席にうつろうね。
パタン

ねこちゃん見える？
海だよ。
大きいお船でしょう。
フェリーっていうの。

あみあみでよくみえないけど
うん。わかったよ。
そんなふうに頷いてみた。

そのひとはキュッと
僕の入っているかごを
シートベルトっていう
何かで動かないようにしてくれた。

さあ、せんせいのところに行くよ

ぴゅーん
風を切って走る赤い乗り物

ねこちゃん！
クルマは安全だからね。

この乗り物はクルマ。
海。フェリー。シートベルト

なんでもいろいろ名前があるみたい。

名前………

そういえば

帰れなくなったおうちで

僕も名前があった。

ちゃんと思い出せないけど

あのときたしかに
名前があったんだ。

キキッー。
そんなことを考えているうちに
どこかについたみたい

んまー！がんばられましたねー
もう大丈夫です！
ありがとうございます！

とっても大きな明るい声がして
またあのことばが
聞こえたんだ。

いま僕が
こころがあったかくなる

あのことば。

そう。

大丈夫！


No.6に続きます。





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