インドで見かける日本未進出モデル、メーカーについてみていきたいと思います。
まずはインドの自動車産業をさらっとおさらいします。
<インド自動車産業の歴史>
インドの自動車産業は古く第2次大戦前にさかのぼります。
1930年代:GM,フォードが進出、ムンバイ、コルカタなどに自動車工場設立(戦後に撤退)
1942年:ヒンドゥスタンモーター設立
1945年 タタモーター、マヒンドラ&マヒンドラ設立、当初は両社とも蒸気機関車や商用車の 設立
1958年:ヒンドゥスタンモーターが、英国モーリス社のオックスフォードシリーズⅢという乗用車の生産設備ごと購入、これがインド乗用車の代名詞であるアンバサダーであり、産業保護のため自動車の輸入禁止政策と相まって、インド国民車となった。
競争のない環境でモデルチェンジもなく2014年までほぼ同じものが生産され続けた。
1981年:第二の国民車を作るためマルチ・ウドヨグ社(のちにマルチ・スズキに改称)設立、翌年、日本のスズキが同社に26%出資して経営参加、83年にスズキ・アルトをベースにしたマルチ800の生産開始、大人気モデルとなる。
1991年:湾岸戦争による中東出稼ぎ労働者減少で、深刻な外貨不足になり国家破綻寸前になる。日本の緊急支援で切り抜けるが、同時に市場開放を求められ、90年代はトヨタをはじめ多くの外資企業が参入する。また、重機・商用車メーカーのタタ、マヒンドラも乗用車市場に参入
1998年:南部バンガロールにトヨタ自動車の工場稼働、デリー郊外のノイダに本田技研の工場稼働
2009年:西部プネにメルセデス・ベンツの工場稼働(部品をドイツから輸入して組み立てるノックダウン生産)
<インド自動車産業の現状>
・依然として強い保護政策
現在のインドには、トヨタ、VW、ヒュンダイなど外資系企業の車も見かけるが、完成車の輸入についてはいまだに100%の関税がかけられており、外資であってもインド国内生産の車両が大半である。
・圧倒的に強いマルチ・スズキ
インドの自動車産業(乗用車)は、1958年から生産開始されたアンバサダーの1車種のみ販売の時代が続いていた。
そんな中1983年に、当時日本で発売されていたアルトをベースにしたマルチ800が発売されると、あまりに設計の古いアンバサダーと比べ、あらゆる面で革新的であり瞬く間にインド乗用車市場を独占した。
そのため、マルチ・スズキはインド市場に長く親しまれ、生産・ディーラー網は他社に先駆けて整備され、かつ同社はインド市場を熟知している。
91年の自由化以降は多くの外資が参入したものの、2021年現在も50%近いシェアを維持している。
・コロナ後の変化
2020年に全世界を襲った新型コロナウイルスはインドも例外ではなく、3-4月に強力なロックダウン、9月には累計感染者数が世界第2位になるなど大きな被害が出た。
6月から順次自動車産業も生産再開されたが、コロナ禍で公共交通を避けるため、通勤目的で二輪車と小型車の売上が増加した。
一方、企業の送迎車やツーリストタクシー、富裕層向けなど中・大型車の販売は落ちている。これによりメーカー間で増加・減少の傾向が分かれてしまった。
<日本に進出していないメーカー>
下記は日本に進出、正規輸入されていないが、インドでは営業しているメーカーである。
タタモーターズ(インド)
マヒンドラ&マヒンドラ(インド)
ヒュンダイ(韓国)
スコダ(スロバキア 独VWグループ)
MG(中国 もともとは英国のブランド)
次回はインドで活躍するメーカーについてそれぞれ見ていきたいと思います。