欧州を旅行した人なら、多くの都市でトラムと言われる路面電車が走っているのを見たことがあると思う。地方都市でも1~2路線あって、市内と郊外を結んでいる。

 

日本でもいくつかの地方都市で路面電車が現役で走っているが、1970年代のモータリゼーションで道路拡張を理由に多くが廃止された。これはアメリカ、欧州も同じ傾向にあったが、環境問題、都市の空洞化が問題化された90年代に欧州を中心に見直されるようになった。

とくに、フランス・ストラスブール市がトラムの復活とそれに合わせた町の再開発に成功したとして世界中から注目された。

 

インドではコルカタに古くから路面電車が走っているが、積極的に活用されているとはいいがたく、骨とう品のような古い電車が走っているだけである。代わりに、多くの都市でメトロの建設が進み、あるいは計画がある。

↑コルカタメトロのレトロ車両

 

今回、デリーメトロの一部にトラムを検討しているらしい。しかし、欧州でもロンドン、ベルリンなど大都市中心は国鉄の近郊電車やメトロ(国によってSubway,Uバーンなど名称は違うが)といった大量輸送可能な鉄道が運営されている。

 

デリーも人口1900万人の超巨大都市、周辺のグルガオンやノイダも入れたデリー首都圏は東京にも匹敵する巨大都市圏である。当然大量輸送が求められるので、コストが安いからと安易な導入は考えてほしい。特に、既にメトロのネットワークが出来上がった中で、既存の路線と直通運転ができることも重要な要素である。

 

逆に、首都圏でも郊外のニムラナ、レワリといった中規模都市については、地域輸送をオートリクシャー(3輪タクシー)やバイクに頼っている状態なので、メトロだけでなくトラム導入を検討する余地は大きいと思う。

 

広いインド、目先の建設費だけでなく費用対効果を見極めて公共交通の整備をしていってほしい。

 

https://www.metrorailnews.in/cheaper-metro-neo-may-replace-metrolite/