「大鎌殺人と収穫の秋」 | ちび子

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本好き猫 ちび子

先日「グレイラットの殺人」を読んだ。中年の刑事が難解な殺人事件に取り組むミステリである。この「大鎌~」も中年刑事が難解で残忍な殺人事件を地道に捜査していく話である。

        

「大鎌殺人と収穫の秋」フォルカー・クルプフル&ミハイル・コブル著である。副題は「中年警部クルフティンガー」中年太りの樽腹を抱えたクルフティンガーが息を切らしながらドイツの片田舎を駆けずり回る話だ。「グレイ~」の主人公ポーと違うのは、クルフティンガーは死体を見ると吐き気がするところ。死体を見るのは嫌だし、天才的な頭脳を持っている訳でもないし、捜査計画をたてる時も部下達にどう仕事を割り振るか気に病んだりする。しゃがむと膝がポキッと鳴るしな。

残忍な殺人事件を解決に導くだけの話ではない。休みの日は愛妻と地域のお祭りに参加し、(あまり好きではない)近所の人との付き合いに苦戦し、大好きな料理を健康の為と妻に禁止されて拗ねてみたりと普通のおじさんの日常の話なのだが、職業が警察官であるので基本はミステリ仕立てになっているという感じだ。前作の「ミルク殺人と憂鬱な夏」では事件の解決がメインだったが、今回の「大鎌~」は事件と私生活のどっちがメインなんだかな、と思わせるほど話が行ったり来たりする。

この話にはクルフティンガーの息子が初登場。話の流れからこのシリーズの主要なメンバーになるのだろうと思われるが、ドイツでは9作まで刊行されているこのシリーズも日本では2作しか翻訳されていないのだ。読めないじゃないか。

こりゃあもう ただひたすら翻訳される事を祈るしかないな。

いつの日か、続きが読めますように!

頼むぞぉ~!