「アルモニカ・ディアボリカ」 | ちび子

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本好き猫 ちび子

ここんとこ分厚い本ばっかり読んでいる気がする。面白いから良いんだが、老眼母ちゃんは小一時間で目が疲れてしまうので、なかなか読了に至らない。俺は母ちゃんの腕枕でひと眠り出来るから、全く文句はない。

   

「アルモニカ・ディアボリカ」皆川博子著である。これは「開かせていただき光栄です」の続編だ。罷り間違って「アルモニカ~」を先に読んだりすると濃霧の中を五里ほど歩く羽目になるので要注意である。

「開かせて~」より5年後の話で登場人物はほぼ一緒。前回暗躍したナイジェルの出自がはっきりしたり、少年だったネイサンが青年になって頑張ったり、ダニエル先生がやたら涙もろくなってたり、それぞれにこの5年は長かった様だ。盲目のサー・ジョンは安楽椅子探偵から自ら動く探偵になった。

舞台は18世紀のイギリスで登場人物の幾人かは実在し、実際にあった反乱や戦争、その影響など文中に盛りだくさんだ。残念ながらイギリス史は詳しくないので へー ほー ふーん と半ば読み飛ばしてしまったが、巻末の北原尚彦の解説によるとかなり史実の基づいているとの事。そんな状態で殺人事件を解決しようとすると、そりゃかなり大変な事になるだろうと容易に想像できる。前作もそうだったが、あっちこっちに死体が転がっているので(語弊があるか? でもその位の勢いはあるぞ)、その死体が一体誰のだとか、Bと名乗る奴が実はAだったとか、読者をわざと混乱させようと思って名前を愛称で呼んでんじゃなかろうかとか、まあ惑わかされっぱなしだ。読了した途端に再読したいと思ったほどである。

ラストでロンドンを離れた2人の話が「インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナー」で1冊になっている様だ。これで3部作の完結となるらしいが、田舎町のウチの近所の本屋に在庫はない。

しゃーない。母ちゃんに電車に乗って買い出しに行ってもらうか。

読めるのはちと先の話だな。