「ヒトコブラクダ層戦争(上)」 | ちび子

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母ちゃんは恐竜好きでもある。骨格標本なんぞ見せられた日にゃあ、中年おばさんが気持ち悪いほどニヤニヤしながらずっと眺めていられる。なんだったら初めて会った恐竜オタクの小学生と議論を交わすなんぞ、屁でもない。この本の主人公達の一人、梵天は日本にもティラノサウルス類が居たんじゃなかろうかと、発掘を存分にする為に山を一つ購入した。羨ましい。

         

「ヒトコブラクダ層戦争(上)」万城目学著である。主人公は3つ子の梵天、梵地、梵人だ。長兄の梵天は化石マニア、真ん中の梵地はチグリスユーフラテス文明マニア、末弟の梵人は格闘マニアというちょいと癖強めの3兄弟で、万城目学が書く登場人物達なのでさらに一癖も二癖もあり、頁を捲ってああそういう話ね、なんて高を括っていると予告なしに足元掬われたりする。何でもアリだ。

冷静に読めば「有り得ねえ」と一笑出来るのだが、首までどっぷり万城目ワールドの中に居るとそれも出来ない。おう、おおう! と怒濤の展開で流されるままあっちに行ったりこっちに行ったりしながら、気が付いたら砂漠の真ん中に放り出された感じだ。途中ちょっとづつこの3つ子の事が判ってくるが、本人達が真面目なんだか不真面目なんだか判らない感じで のほほんと流されていくので、こっちとしても一緒に流れていくしかないだろ。

そんでまたいい所で上巻が終わってしまうんだな。文庫の1冊にしちゃあ京極夏彦の本ばりに分厚いのに つるっと読んでしまって、早々に下巻を読みたくなるじゃないか。

万城目遊園地のジェットコースターに乗ってしまうと、途中下車は難しいのである。