拝啓 益々 寒風が押し寄せ、心までもが凍る季節。


少々、久し振りだろうか。1月の下旬頃というのは試験に追われているのが例年の習いだったが、今期は試験の数が少ないため余裕綽々の阿呆面でキャンパスを闊歩している。貴君の学業成績もとい単位取得数はどのような状態だろうか。まあ聡明な貴方の事だから、私如きが心配するのは不躾というものだろう。

私の友人に堀越(仮名)という大馬鹿者がいる。浪人で入学し、2回生で留年中、来期は3回生になるが取得単位数は絶望的。仏のように優しい教授がいるとされるゼミナール通称「単位ヘブン論文所」の入室試験を受けたのだが、君は大丈夫なのか、とその教授を悲嘆させたぐらいだ。私の1つ年上でありながら下級生であり、今は私が2回生の時にとっていたノートで試験の勉強をしている有様である。このお世辞にも素晴らしい学生と言えない彼と私は何だかんだ3年の付き合いになる。私の数少ないサークル カンケンの旅行にも一緒に行き殆ど奴と過ごした記憶しかない旅になった(何故か風呂にも一緒に入った人生で一番後悔している)、奴が親父さんから貰った焼肉券を使い女の子とのデートでいきなり青山にある焼肉屋に誘うが断られ、結局私と行くという虚しい結末を共に味わった事もある。奴といて有益な事はほとんどない。お互いに何も与え合わない、ただただ無益に将来が見えない、不味いと嘆き合ってばかりだ。何故こんなだらしのないやつと縁が切れないのか。些か不明だ。友人とは誠、摩訶不思議である。


あまり関係の話になってしまった気がする。とりとめも無く申し訳ない。貴君の友人はどうだろうか。きっと貴方の事だから聡明で清廉潔白の塊のような人かと思われる。
試験後 笑顔でまた。


聡明陛下 敬具


大馬鹿とつるむ阿呆