まず、羽生選手は「できる限りのところでマスクをし、できる限りのところを消毒する」と、日頃から感染対策に細心の注意を払っていることを明かした。スケートの練習中やその前後での靴の手入れなどに気を使わなければならないなど、これまでの習慣が大きく変わったことも告白。また、スケートの試合やアイスショーの中止が相次ぐ中で、羽生選手の練習時間も大幅に減ってしまったという。
そんな中で“動いたこと”として、羽生選手は「勉強していました、ひたすら」と打ち明けた。早稲田大学の通信課程で人間情報科学を専攻し、卒業論文を執筆。論文について「フィギュアスケートにおいて、モーションキャプチャー技術はどれだけ使えるものなのかや、どういうふうな展望があるのかをまとめたものです」と語る羽生選手。3Dモーションキャプチャーによるジャンプの研究では、自らの体にモーションキャプチャーを装着。実際に陸上でジャンプをして、トリプルアクセルをデジタル化して解析した。羽生選手は、将来的に選手の技術の向上やAI採点など、スケート界の発展に役立てたいという思いを持っているという。「練習する時間が少なくなってしまったからこそ、勉強にすごく集中できている」と話し、「自分の論文を完成させたこと」を“一番動いたこと”に挙げた。
その一方で、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、最前線で闘う医療従事者のために自身ができることについては、まず「ウイルスを自分に感染させない」とし、さらに「そこから広げないことこそが、一番の(医療従事者の)皆さんへの応援」と力強く述べた。続けて、「感染拡大につながるような行動をしない選択をするだけで、僕たちは回復した未来へ向かって動けているんだな」という思いを吐露した。
人々の前で再びスケートができる未来に向けて、羽生選手は「早く皆さんの前で、思い切って、少しの不安も心配もなく自由に演技して、自由に声を出して、自由に笑える、自由に泣ける…。そんな日が来ることを願っています」と語り、未来に向けて“動き続ける”ことを誓った。