小さなスナック -5ページ目

小さなスナック

宿題が終わらない

「パープルレイン」のプリンスと
映画「バッドマン」の主題歌を歌うプリンスと
シネイド・オコナーの”Nothing Compares 2 U”はプリンスが作ったという事以外に
知っているプリンスといえば

プリンスがプリンスを辞めた時の
プリンスじゃないプリンスの時に(非常に面倒な説明)
全米小さなライブ会場で演奏していた”元プリンス”だったり
顔に「slave(奴隷)」と書いた”元プリンス”だったり と。
LA在住のミュージシャンがLAコンサートをした時に
当時のシェリル・クロウやレニー・クラヴィッツのパフォーマンスに運がよければ
”元プリンス”がギターでジョイントしていたり、
遠い記憶が正しければセサミストリートにもチョイチョイ出演していたような。
あと、2(to)4(for)とかU(you)R(are)等の言葉遊び も。
プリンスが日本のファンの中で「殿下」と呼ばれていた事を知ったのは
実はつい最近だったりする。しかも・・デンカって。。

20年の時を経て突然、プリンスの名前がわたしの中で浮上したのは
2015年のグラミー賞時の短いスピーチ。

「アルバムって覚えてる?
 Like books and black lives, albums still matter. 」

アイロニーを込めて
「本と黒人の命もアルバムのように大事なんだよ」ってね。

わたしが知っている”元プリンス”の姿は
作品表現をめぐって
”レーベルの奴隷”にはならないとワーナーと闘い
ワーナー側にプリンスの名前を使用させなかったあの時代。
インターネット戦争が本格的に始まり
音楽業界や映画業界、カルチャーそのもの自体が
新しいもの(若者)と古いもの(狡猾な大人)に大きな壁が出来上がり
人間と商品価値の消費形態や動向がより複雑化していく初期の時代。
ワーナーグループ自体が投資家による買収合併でグチャグチャになり
レイオフが日常のあの時代。(他大手資本含め)

人種によっての教育差別が存在していたあの時代。
教育をまともに受けていない黒人にとって生き延びる術は本を読む事。
自国から逃れるように不法だろうが合法だろうが
移民達がアメリカに渡り言葉を学ぶ為にまずどこに行くか、
それは公共の図書館。
軍事費は世界イチなのに、故に州経済悪化でその図書館すら閉鎖されていたあの時代。
州によってはマイノリティに図書館を使わせないあの時代。

アメリカ建国以来、白人による黒人への暴力は
警察による黒人への過剰な取り締まり暴力へと変わり
2014年夏のファーガソンの暴動で世界中のメディアで知る事になっても
2015年プリンスがグラミー授賞式で”black lives matter”の言葉を伝えても
直後にボルチモアの暴動が起きる現実。

その暴動直後、
プリンスがボルチモアの人々の為にプロテストソングをリリースし
夜間外出禁止令も出されていたボルチモアで
「Rally 4 Peace」(チャリティコンサート)開催。
を知ったのがちょうど去年の今頃だったような。

偉大なプリンスが何故偉大なのかを改めて理解できたのは、
ミック・ジャガーやポール・マッカートニーやボノが
即座に追悼の意を表したからではなく
ラッパー達がいかにプリンスを愛していたのか を
知ったからかもしれない。

ミュージシャンの命でもあるマスター権利問題でも
ワーナーと争い続けていたプリンスが
90年代”音楽業界の泥棒”と言われていたサンプリング手法で
どれだけのラッパー達がプリンスの曲をサンプリングしていたかって。
反対にいかにプリンスがヒップホップに理解を示していたかって。
実際、膨大な未発表曲の中にはラップを歌っているプリンスの音源も
どこかのサイトでUPしていた ね。

http://www.xxlmag.com/news/2016/04/rap-songs-that-sample-prince/

"Prince"のメンション。
みなさん、"Prince"を王子扱い。
特にタリブはプリンスが好きでたまらない感じ。

http://www.xxlmag.com/news/2016/04/rap-lyrics-that-mention-prince/

プリンス訃報直後、
全米各ネットワークもラジオもネット上も各地の人々も
ありとあらゆるところが紫色に染まり
J.コールが満員のライブで”元プリンス”マークのシャツを着て
Nasはプリンス追悼ブロックパーティを開き

Gameに至ってはプリンスの訃報直後に
プリンスがどれだけ素晴らしい人間かをプリンスの代表曲“When Doves Cry”を
サンプリングして"Rest in Purple"をドロップ。
これがたまらなく泣けてくるリリック。

So I’ma pour up in your memory, cause the time has come.
The world lost a legend, but he up there with his son.
世界はレジェンドを失ったけどあなたの記憶は失わない。
あなたの人生を生きるように無駄な人生は過ごさない。

この男、わずか2週間で大切な存在であるプリンスと2パックママが亡くなり
二人の為だけに曲をドロップなんて泣けてくるしかない。
数年前、プリンスと一緒に録音する話もあったらしく
結局、プリンスの信仰心故にカースワード(Fuck・Bich・Nigger等)NGで
実現には至らなかったものの、
実際会ってくれた事、方向性に理解を示してくれた事に絶大な尊敬と感謝を表し
Gameからカースワードを取ったらGameじゃないじゃん の
"Rest in Purple"には 一言たりともカースワードが入っていない。
それどころか、それはそれは美しい詩 になっている事に
とにかく泣けてくる話。




人種によって観客の人種層が変わるアメリカのコンサート風景、
ロックミュージシャンの中で最も白人層の集客が多かった二人。
「俺たちのブラザー(黒人)は一体、どこにいるんだ?」ってね。
そして最もセクシーなギタリスト二人。
そして誰よりもプリンスに身を捧げていたレニー・クラヴィッツ。(多分)
そして今のレニーは憂いの日々だろう(多分)

アメリカという国をアメリカン・ウーマンに置き換えて 
  「俺から離れろ。うろうろするな。顔も見たくない。
   お前に付き合ってる時間はない。
   お前の戦争、ゲットーの風景、みんないらない。
   お互いのためにならないんだよ。」




これからどんどんとこういう驚くような映像がでてくる予感。
ケンドリック・ラマーと歌う「What's My Name」(俺の名前は何だっけ?)は、
元プリンス時代の曲。 
  「俺の名前はただひとつプリンス。
   俺を止める事はできない。
   俺と一緒にplayしたければもっといい方法を考えろ」

プリンス自宅のペイズリーパークのセッション。(感涙)
ケンドリックの「To Pimp A Butterfly」アルバムリリースが待ち遠しくて
去年はケンラマ中毒、のアルバムには当初、プリンスも参加予定だったとか。
「Blackの姿を最も美しく表現をする」とケンドリックを評していたプリンス。
2015年以降、
アメリカ国内のプロテスト運動にはにはケンドリックの「Alright」(俺たちは大丈夫)
そして今年2016年グラミー授賞式では
それはそれは素晴らしいパフォーマンスをやりきった感のケンドリック(感涙)



 
 「聞こえるかい? マイケル・ブラウンや
  フレディ・グレイの冥福を祈る僕らの声が。
  平和とは単に戦争がない状態のことじゃない
  すべての銃をなくそうよ」

亡くなる前年ホワイトハウスのプライベートライブでプリンスが演奏したとか。
ボルチモアのチャリティ・コンサートでは
高視聴率の音楽ドラマ「Empire 成功の代償」出演のタラジ、他キャストの面々。
エステルもミゲルも。
ヒップホップ周辺の各面々、スポーツ界面々がプリンスの一声で集合。




プリンス亡き後
プリンスのテクニックやスタイルで溢れかえっているそんな話は実はどうでもよくて

ストイックなまでに
プリンスがプリンスであり続けた「音楽とは何か」

プリンスであり続けてこれたのは、
アーティストである前に
人間本来の「自由」との本能的なコミットメント があったから。
頑なまでに。   なんだと思う。

それは 「表現」の自由。


C U in heaven.