ロサンゼルスの伝説的ヒップホップグループ、
「N.W.A.」はNiggaz Wit Attitudes、主張する黒人の意味。
映画タイトル「Straight Outta Compton」はコンプトンから行くぜ の意味。
90年代初頭「ロサンゼルス暴動」をCNNの映像でずっと観ていた。
黒人少年を暴行する警官の映像、
その警官への抗議から暴動へと発展した映像。
さらには以前から対立していた韓国人社会とと黒人社会の銃撃戦に発展し
LAダウンタウンに非常事態宣言、市内中の警察と軍隊投入で住民制圧。
コリアタウンに住んでいた日本の友人達が
我が家に一時的に避難してきたりもして。
自宅のウエストLAから車で1時間とかからない
ダウンタウンのサウスセントラルエリア、
コンプトンやワッツ、ランバートの黒人達の暮らしや街の風景の現実を
ロサンゼルス警察の人種差別や凶暴さを
人間の怒りや憎悪を
ロサンゼルス暴動の映像をリアルタイムで間の当たりにしていた。
このエリア、どれだけ危険なのかって、
言う事を聞かない5歳の男の子にお父さんが
”コンプトンかグアテマラに連れて行くよ”と言うと、
とりあえず、悪さが収まるというくらい、
小さな子供でも危険な場所と知っている。
あと、あまりにも毎日、病院で身元不明の死人が多数出るので
病院職員がこのエリアに死体を捨てにきていた なんていう事件も
確かあったような。
つい数ヶ月前にはホームレスが増えすぎて
非常事態宣言が出ていたり。
同じロサンゼルスでもこちら側と向こう側の境界線が
しっかり出来上がっている。
ロサンゼルスに限らずアメリカ国内はどこも同じ、
人種の境界線が存在する。
当時、特別ヒップホップが好きという訳でもなく
エンターティメントとしてカルチャーとしてストリートの中にある
音楽の1つとしてのヒップホップ。
個人的にはヴェニスビーチのクラブで
Dilated Peoplesのエヴィデンスのパーティーに顔を出す位で。
ノリが良くて酔えて踊れて気持ちよくてトリップできたら
実際、音楽なんて何でも良かったし何でも聴いていたし。
アイスキューブもアイスTもバニラアイスも
顔と名前が一致していなかったし。
そんなわたしですらN.W.A.のFuck Tha Policeをコールできるのは
ハードコアラップN.W.A.の影響がいかに強かったか。
90年代からヒップホップが挑んだ、
ギャング、金、暴力、ドラッグ、酒、セックス、女性蔑視を、
ゲットーの現実を、
アフリカンアメリカンの現実を、
貧困の現実を、
白人から詐取される現実を、
自由な表現のもと、強烈なリリックとライムで創り上げ
ラッパー同士のビーフから銃撃等々と
当然、政治やエージェント機関も黙っている訳はなく、
レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンやレッチリ等のミュージシャン達、
特にラッパー達の敵となった
PMRC(アル・ゴア元副大統領の嫁が設立した検閲機関)との対立。
過激な表現を規制するステッカー「Parental Advisory」の義務付けを政府に求め、
メディア記事に至っては
マヌケなラッパー、金勘定に忙しいラッパー、
人種差別を扇動する最悪なラッパー、白人子供達に悪影響を与えるラッパーと
散々に書き立てられ、
チェイニー元副大統領の嫁からの圧力でMTVやBET出演の締め出し、
白人主導のレコード業界や黒人音楽主流のR&Bジャンルからの妨害。
とにかく、若者層以外の全ての年齢層、全ての業界から嫌悪され
政治論争までに発展していたヒップホップが、
20年の時を経て
アメリカだけのヒップホップ音楽に留まる事なく、
世界中にヒップホップジャンルを確立できたのは、
80年代から90年代に派生し続けたラッパー達の「闘い」の他ないだろう。
ファッションも映画もアートも今となっては
ヒップホップ音楽なくして成り立たない。
「Parental Advisory」がミュージックビデオやCDに貼られようと
彼らは永遠にFuck youなんだろう。
多分、その一歩がこの映画「Straight Outta Compton」の
N.W.A.なんだろう。
N.W.A.のイージー・E、ドクター・ドレー、アイス・キューブ、
後に続く、シュグ・ナイト、スヌープ・ドッグ、2PAC。
ドクター・ドレーや2PACが存在しなければエミネムは存在せず、
エミネムがいなければ50Centも存在せず、
イージー・Eやドクター・ドレーが存在しなければ、
ウェストコーストの現在の若きキング、ケンドリック・ラマーも存在せず。
2014年8月にアメリカで映画公開されるも
オープニング初日は異例の約70億円をたたき出し、
興行収入3週連続1位、音楽ジャンルの映画としては
過去史上最高の興行収入獲得、
中には映画館を貸しきりにしたラッパーもいたとか。
そんな熱いヒップホップ映画にも関わらず日本では未公開と、
まぁ、判らなくもない日本の低迷まっしぐらなヒップホップ事情。
が、熱狂的なコアなファン達が署名運動の成果(笑)で
何とか3ヶ月遅れで去年12月日本公開へと。
北米公開と同時にストーリーはすでに各メディア英語サイトで
すでに知り尽くしていたものの、
やっぱりイージーEって殺されたんだな、、、
きっと、、多分、、、いやきっとそうなんだ、、、。
だって、N.W.A.復活話後にあっという間に死んじゃうなんて
ありえないだろう という感想。
それだけ、N.W.A.の社会影響力とイージー・Eのカリスマ性が
いかに白人社会を脅かしてたか。
ついでに当時90年代のロサンゼルスのギャング事情ありき含む。
N.W.A.のドレー先生、去年の年収600億円 だそうです。。
この映画のロイヤルティで入ってくるお金は
全てコンプトンの教育費用として全額寄付 だそうです。
もうね、文句ないでしょ。
ヒップホップはアメリカを変えたか?
間違いなく変えたでしょ。
音楽サイトのチャートインには常にヒップホップが並び、
著作権侵害で訴えられようともリスペクトしているからできる技、
全ての音楽ジャンルをサンプリング、フィチャーリングし
アメリカ国内では別名宗教スポーツとしてのNBLやNFLでライブし、
ハーバード大学やバークリー音楽大学ではヒップホップ専攻ができ、
ヒップホップを社会文化として研究をする学者も多数存在し始め
高校や中学でも積極的にヒップホップのリリックを取り入れ
アメリカ史、アフリカ史、黒人史を教えているという。
本物のN.W.A.
映画のN.W.A.
ヒップホップは確かにアメリカを変えた。
それでもアフリカン・アメリカンへの警察暴力は
変わっていない。人種差別も無くならない。